「最近結城とどう?」
今日は結城君がお休みだった。用事があるだけだから大丈夫だって連絡をもらって、安心して穂乃果ちゃん達と昼休みを過ごしていると、やっぱり訊かれた。
「すっかり二人で居る事増えたもんね。ほんと仲良いっていうか」
「ほら見なよ穂乃果を。寂しくしてんよ?」
「してないわ。大丈夫だから澪気にしないで」
「だって澪に大好きって言われたんだもんね〜? めっちゃ喜んでたよ」
「うるさいって! ほんっとそのなんでも言う口どうにかして!」
大きな笑い声と怒る穂乃果ちゃんの声。うん、これこそいつものみんなだ。
うんうんと、心の中で頷いていると、また私に質問が届いた。
「そういえばデートはしたの? 初デートどこ行った?」
「デート……」
つまり、二人で出掛けたかって事だよね。夜、海に行ったあれは完全に違うから、付き合ってから出かけた事といえば……。
「無いや。デートした事ない」
その途端、「えぇ?!」と。「あんなにべったりなのに!」と。辺りが驚愕の声に包まれる。
そ、そんなに……?
「考えよ! どこ行きたい?」
「え? えーっと……どこが良いんだろ……」
「澪は彼氏と行きたいとこないの? 連れてって欲しいとことか」
「彼氏と……いや、特に思いつかないかも……大体穂乃果ちゃんと行ったしな……」
「穂乃果!」
みんなの視線を集める穂乃果ちゃんはドヤ顔で、「まぁそういう事だよね」なんて言っている。どういう事?
「あ、じゃあ結城君の行きたい所に行きたいかも」
そうだ、私に無いなら結城君にはあるかもしれないし! きっとその方が私も嬉しい!と、そんな提案をすると、みんなは、「なんて健気な……」と涙を拭う真似をした。それに、え、健気かな?と単純に疑問に思う。やっぱりだいぶ私とみんなでは感覚が違うらしい。
「でも結城って普段どこで遊ぶんだろ。想像つかない」
「あいつ何が好きなの?」
そう訊かれて、えっとね、と答えようとして……ハッとする。
「何が好きなんだろ……」
あれだけ側に居たいだのなんだの言っておいて。特別な人なんだと言っておいて。
「私、結城君の好きなものも、好きな事も、何も知らない……かも」
改めて考えると、パッと思い浮かぶものが無かった。
橘さんの事が大好きだったのは分かる。でもそういう事じゃない。そうなると、途端に結城君という存在の輪郭がぼやけてきて、もしかして結城君について何も知らないのでは?なんて不安にかられ始めた——その時だ。
「結城の好きなものなんて簡単だよ」
堂々と、そう言ってのけたのは穂乃果ちゃんだった。何? 何なの?とみんなの興味関心を惹きつける中、その真ん中で穂乃果ちゃんはつまんない顔をして告げる。
「澪でしょ。澪と居られればどこでも良いんだよ」
その言葉に、「あ〜」と、一同納得の声。
「毎日の学校生活がデートですってね」
今日は結城君がお休みだった。用事があるだけだから大丈夫だって連絡をもらって、安心して穂乃果ちゃん達と昼休みを過ごしていると、やっぱり訊かれた。
「すっかり二人で居る事増えたもんね。ほんと仲良いっていうか」
「ほら見なよ穂乃果を。寂しくしてんよ?」
「してないわ。大丈夫だから澪気にしないで」
「だって澪に大好きって言われたんだもんね〜? めっちゃ喜んでたよ」
「うるさいって! ほんっとそのなんでも言う口どうにかして!」
大きな笑い声と怒る穂乃果ちゃんの声。うん、これこそいつものみんなだ。
うんうんと、心の中で頷いていると、また私に質問が届いた。
「そういえばデートはしたの? 初デートどこ行った?」
「デート……」
つまり、二人で出掛けたかって事だよね。夜、海に行ったあれは完全に違うから、付き合ってから出かけた事といえば……。
「無いや。デートした事ない」
その途端、「えぇ?!」と。「あんなにべったりなのに!」と。辺りが驚愕の声に包まれる。
そ、そんなに……?
「考えよ! どこ行きたい?」
「え? えーっと……どこが良いんだろ……」
「澪は彼氏と行きたいとこないの? 連れてって欲しいとことか」
「彼氏と……いや、特に思いつかないかも……大体穂乃果ちゃんと行ったしな……」
「穂乃果!」
みんなの視線を集める穂乃果ちゃんはドヤ顔で、「まぁそういう事だよね」なんて言っている。どういう事?
「あ、じゃあ結城君の行きたい所に行きたいかも」
そうだ、私に無いなら結城君にはあるかもしれないし! きっとその方が私も嬉しい!と、そんな提案をすると、みんなは、「なんて健気な……」と涙を拭う真似をした。それに、え、健気かな?と単純に疑問に思う。やっぱりだいぶ私とみんなでは感覚が違うらしい。
「でも結城って普段どこで遊ぶんだろ。想像つかない」
「あいつ何が好きなの?」
そう訊かれて、えっとね、と答えようとして……ハッとする。
「何が好きなんだろ……」
あれだけ側に居たいだのなんだの言っておいて。特別な人なんだと言っておいて。
「私、結城君の好きなものも、好きな事も、何も知らない……かも」
改めて考えると、パッと思い浮かぶものが無かった。
橘さんの事が大好きだったのは分かる。でもそういう事じゃない。そうなると、途端に結城君という存在の輪郭がぼやけてきて、もしかして結城君について何も知らないのでは?なんて不安にかられ始めた——その時だ。
「結城の好きなものなんて簡単だよ」
堂々と、そう言ってのけたのは穂乃果ちゃんだった。何? 何なの?とみんなの興味関心を惹きつける中、その真ん中で穂乃果ちゃんはつまんない顔をして告げる。
「澪でしょ。澪と居られればどこでも良いんだよ」
その言葉に、「あ〜」と、一同納得の声。
「毎日の学校生活がデートですってね」



