「何あの言い方、腹立つわね〜。待ってくれたのにごめんね、穂高さん」
そんな先生の言葉に、「はい」だか、「いえ」だか答えた気がするけどハッキリとした意識はなくて、そのまま保健室を出て、教室に着いて、廊下側の一番後ろの席で机に伏せている彼の後ろを通り過ぎて、別に何か言うでもなく私も自分の席に座って、すぐにまた授業が始まって、それでようやくハッと心が戻ってきた。
え? つまり迷惑だって文句言われたの? しかも馬鹿にされた? なんでそんな事言われなきゃならないの?
まるで断れない私が悪いし、言う事聞く事しか出来ないのかと、自分の意思が無い奴みたいな酷い言い方をされた様な気がする。ニッコリ笑って平坦な声で諭す様に話す彼の雰囲気に飲まれてしまったけど、あれは完全に私の事を馬鹿にした物言いだった。絶対そう。
え、なんで? なんであの人にそんな扱いされなきゃならないの?
言われた瞬間からしばらくはショックで放心状態だったけど、理解した途端にイライラ、ムカムカが募って胸と頭がいっぱいになる。授業が終わっても心の中が穏やかではいられなくて、いつも通りみんなと下校する間もピリピリとした空気を纏っていたのだと思う。
「何? 機嫌悪い?」
そう隣から掛けられた声でようやく気が付いたくらいだ。多分私は相当酷い態度だったのだろう。
「今日ずっとなんか変じゃない? てか最近ずっと?」
「なんかあるなら言いなよ」
まただ。またこの空気だ。
「いや、ちょっと嫌な事があって……」
さっき保健室でね、と、慌てて今私の身に起きた出来事をきちんと説明した。睡眠不足で体調が悪かった事。少し寝たらスッキリした事。それなのに結城君に酷い扱いを受けて今もずっと腹を立てている事。
「何それ酷っ! あいつってそういう感じだったんだ」
「待っててやったんだから感謝しろや感謝〜」
「フツーに最低じゃん。澪、可哀想」
口々に彼を非難し、私を庇う彼女らの態度に、先ほどまでの私へ向けられていた尖った空気が形を変えた事が分かってほっと胸を撫で下ろした。……と同時に生まれたのは、チクリと胸を刺す罪悪感。
そんな先生の言葉に、「はい」だか、「いえ」だか答えた気がするけどハッキリとした意識はなくて、そのまま保健室を出て、教室に着いて、廊下側の一番後ろの席で机に伏せている彼の後ろを通り過ぎて、別に何か言うでもなく私も自分の席に座って、すぐにまた授業が始まって、それでようやくハッと心が戻ってきた。
え? つまり迷惑だって文句言われたの? しかも馬鹿にされた? なんでそんな事言われなきゃならないの?
まるで断れない私が悪いし、言う事聞く事しか出来ないのかと、自分の意思が無い奴みたいな酷い言い方をされた様な気がする。ニッコリ笑って平坦な声で諭す様に話す彼の雰囲気に飲まれてしまったけど、あれは完全に私の事を馬鹿にした物言いだった。絶対そう。
え、なんで? なんであの人にそんな扱いされなきゃならないの?
言われた瞬間からしばらくはショックで放心状態だったけど、理解した途端にイライラ、ムカムカが募って胸と頭がいっぱいになる。授業が終わっても心の中が穏やかではいられなくて、いつも通りみんなと下校する間もピリピリとした空気を纏っていたのだと思う。
「何? 機嫌悪い?」
そう隣から掛けられた声でようやく気が付いたくらいだ。多分私は相当酷い態度だったのだろう。
「今日ずっとなんか変じゃない? てか最近ずっと?」
「なんかあるなら言いなよ」
まただ。またこの空気だ。
「いや、ちょっと嫌な事があって……」
さっき保健室でね、と、慌てて今私の身に起きた出来事をきちんと説明した。睡眠不足で体調が悪かった事。少し寝たらスッキリした事。それなのに結城君に酷い扱いを受けて今もずっと腹を立てている事。
「何それ酷っ! あいつってそういう感じだったんだ」
「待っててやったんだから感謝しろや感謝〜」
「フツーに最低じゃん。澪、可哀想」
口々に彼を非難し、私を庇う彼女らの態度に、先ほどまでの私へ向けられていた尖った空気が形を変えた事が分かってほっと胸を撫で下ろした。……と同時に生まれたのは、チクリと胸を刺す罪悪感。



