そして昼休みが終わるチャイムが鳴ると同時に教室に戻って来た穂乃果ちゃんは、こちらへ来る事なく真っ直ぐに自分の席へ着いた。
みんなと話せてない私だったらきっと、この時点でびくびくしていたと思う。でも、今の私は違う。
「穂乃果ちゃん」
隣の自分の席に座り、小さく声を掛けると穂乃果ちゃんはすぐに気付いてこっちを向いてくれた。
「放課後話がしたいの」
「……いいよ」
頷くと、前へ向き直る穂乃果ちゃんはやっぱりどこか刺々しかったけど、今はもう怖くなかった。
伝えたい事が、知って欲しい事がいっぱいあるから。穂乃果ちゃんに私の思いを伝えたい。本当の私を知って欲しい。そして穂乃果ちゃんが思ってる事を全部、私に教えて欲しい。
『そこからじゃん、本当の付き合いって』
本当にそうだと思う。なんで今まで私はできなかったんだろう。大好きだから近づけなかった。嫌われたくなくて、自分で自分の可能性を信じられなくなっていた。私と穂乃果ちゃんの新しい未来を。
——そうか。これは、私と穂乃果ちゃんの明日を作る事に繋がるんだ!
「おまたせ、穂乃果ちゃん」
こんな日に限って掃除当番だった私を穂乃果ちゃんは教室で待っていてくれて、しばらく経つと教室内は私と穂乃果ちゃんだけになり、二人きりの教室が出来上がった。
そろそろだ。大丈夫。上手く出来なくても良い。
自分を信じて。
「穂乃果ちゃん」
言いたい事、伝えたい事を言葉にしよう。



