明日もずっと君の隣に


 赤裸々に全ての事を語るのは確かにこのグループのみんなの特徴だった。良い事も悪い事も全部。訊きたくない事も、受け入れたくない事も全部。全部、ここで言葉にして晒しあっている。それを受け入れあっている。
 私はその中で、受け入れられないのに空気を読んで頷いてきた。嫌だと思いながら笑ってきた。

「……もし、私がみんなの意見を聞いてそれは違うって否定したら?」
「そうなんだ〜って思う」
「そんなの良くないって注意してきたら?」
「ごめんね〜って思う」
「でも、もしみんながそんな事言う私の事嫌だって思ったら?」

 嫌だと思わない訳ないと思う。感じない訳ないと思う。だって自分の意見や行動を否定される事だから。それが私だよね、なんて呑気に受け入れてはいられないはずだ。きっと今までされなかったから想像して来なかっただけで、こいつウザい、合わないと思うはずだ。その時みんなは、私を避けるはずだ。

「うーん。そうなってないから分かんないけど……多分澪の事だから優しく言ってくれると思うし、嫌って思いながら反省って感じなんじゃない?」
「……え?」
「あるね〜。親に怒られたみたいな気持ちでね。でも私は悪くないって言い訳したりムカついたりするけど次の時には忘れてる、みたいな」
「澪、もしかしてずっと言いたいのに我慢してた? 言いなよ〜私達も好き勝手してんだからさ、澪もそうすればいいじゃん。ムカついたら言うし、反省したら謝るし。暴走する私達を止めてよ」
「ぼ、暴走……」

 確かにと、普段の様子を思い浮かべて思わず呟いた私に、あははと楽しそうみんなは笑う。

「ま、私達はこんな感じだから、あとは澪が嫌なら離れればいーし、好きなら居ればいーし、ってだけでしょ? 今日の穂乃果みたいに気分じゃないから居なくたって嫌な事あったんだなーくらいのもんだよ」
「無理して合わされる方が嫌かも。おまえなんか嫌い!だけど好きな所もある!の方が嬉しい」
「それな。穂乃果も澪とそうなりたいんだと思うよ。穂乃果、澪の事大好きだから」
「え? 穂乃果ちゃんが?」
「そうだよ〜なのに澪は結城にべったりだし、そりゃあ機嫌も悪くなるよ。あとで声掛けてやんなよ?」

 ……知らなかった。穂乃果ちゃんが、そんな風に思ってるなんて。

「私、てっきり嫌われちゃったのかと……」
「ないない。気付いてないのはお互いだけ」
「あぁみえて繊細だからね穂乃果は」
「澪もね。まぁなんでも言いなよ。全然聞くし」
「……うん、ありがとうみんな」