「……そういえば最近良く、大丈夫?って声掛けてくれてた気がする」

 手伝うよって。言ってねって。初友じゃんって言ってくれた。
 それが最近変だった私の様子を見て、自分に話して欲しくて言ってくれてたんだとしたら?
 原因を探る為じゃなくて、信頼の確認だったとしたら?

「でも私、毎回大丈夫だよって答えてばっかりだった」

 穂乃果ちゃんだけじゃない。みんなそうだ。いつも一緒にいるみんな、みんな私を心配してくれてた。それに大丈夫だよ、以外の答えを返した事あった? 本音で話せた事はあった?

『そうなれるほど信頼されてないんだよ』

「本当だ、私……みんなの事、何にも信頼してない。穂乃果ちゃんの事も……」

 嫌われたくないから言えなかっただけだった。聞かれる度に私が悪い事してないか確認されてる様な気がして、間違えない様にする事で頭がいっぱいだった。みんなに喜ばれる答えを探して、そんな自分が正解だって思ってきた。それが出来ているから私はここに居られるんだって。
 でもそれが辛くて、みんなのせいだって、私に合わない、受け入れてくれないみんなが嫌いだって、そんな自分が嫌だって——でも、それって違う。

「みんなからしたら何言っても本音を語ってくれない、何考えてるか分からない奴……それこそ、本当は自分達の事悪く思ってるのに何故か側に居る奴、みたいな」

 なんで私が傷つけられてるって思ってたんだろう。

「私がいけなかったんだ。信じられなかったから」

 私は穂乃果ちゃんに憧れてる。だから自分には合わないと思いながらもこのグループに居た。でもみんな嫌な人ではないし、一緒に居て楽しい時もある。嫌なだけじゃないのだ。
 それでも、心の底を見せようなんて考えた事なかった。否定されるに決まってるって思ってた。私がみんなを心の中で否定している様に、それをみんなに向けられるのが怖かった。自業自得だった。それも全て穂乃果ちゃんの側に居る為だけのものだったから、そこに信頼なんて求めてなかった。

 穂乃果ちゃんに対してもそう。穂乃果ちゃんがどんな態度をとっても私は穂乃果ちゃんが好きだと言えるくらい、穂乃果ちゃんの人柄が好きだと思っているから、そこに穂乃果ちゃんが私の事をどう思っているかなんて考えた事もなかった。否定されても良いと思えるくらい、私にとって穂乃果ちゃんは特別な人だった。
 けれどそれは、穂乃果ちゃんを信頼する事とは違う形だった。