……そういえば穂乃果ちゃんがそっけないの、朝のあの時からなんだよな。それまでこんな事一度もなかったのに。
 本当はずっと思ってたのかな……。

「裏表のある人って思われてたの、気づいてなくて。でもその通りだから何も言えなくて……そしたらなんか、それから冷たくて」

 そっか、私。

「穂乃果ちゃんに嫌われちゃったんだって、今話してて実感してきた……」

 離れるだけで縁切る奴に憧れるの?って、前に結城君は言っていた。
 それに答える事のないまま家に帰って、どうであってもそれが穂乃果ちゃんなら憧れたままなんだって結論づけて、今、その時に想定した現実が実際に起こっている。

「そっか、私、穂乃果ちゃんに嫌われちゃったんだ……」

 だったら仕方ないなんて、簡単に受け入れられる事じゃない。だって、穂乃果ちゃんは私の憧れる、私の大好きな人。嫌われるのが、離れるのが一番嫌で、その為に頑張って来た人。
 嫌われても、やっぱり嫌いになんてなれない。

「でもどうしよう……もう元に戻れない……」

 受け入れられないけど、戻れる訳なんてないとも思うから、苦しくて悲しい。人の気持ちなんてそう簡単に覆らない。しかもずっと積み重なって来たものなんだから。私が、ずっと積み重ねて来てしまった。

「……穂乃果ちゃんの事、好きなのに」
「それさ、本人に言った?」

 絶望感に打ちひしがれる中、唐突に投げかけられた結城君の質問。
 本人に言った? まさか!と驚いて横に首を振る。そんな事出来る訳ない。

「言ってみれば?」
「言えないよ……」
「なんで?」
「なんでって、そんなの余計に嫌われるじゃん……」
「でもさ、もしかしたら向こうもそう思ってるのかも」

 その言葉に、ハッと結城君へ目を向ける。

「嫌われてるって。だから悲しくて急に冷たくなったのかもしれない」

 ——それは、考えた事もない穂乃果ちゃん側が抱く思いの話で。
 ふと頭によぎったのは、最近の穂乃果ちゃんの言動。