明日もずっと君の隣に

 最近はいつもそうだった。夜になると眠れなくて、眠れないまま朝が来るから一向に体調が良くならないでいる。本当はすごく疲れてるのに、考え事がやまなくて、明日が来るのが怖くて、ずっとずっと寝れない私を取り残して勝手に朝がやって来る。
 きっと今日もそう。このまま今日も、ひとりぼっちの夜に潰され続ける——、っ!

 その時、ピカッと真っ暗な部屋に強い光が生まれたと思ったら、一度だけスマホが震えた。画面を覗き込むと、そこには結城君の名前が表示されている。

 “体調どう?”

「……っ、」
 
 そこには、孤独に押しつぶされる私へ手を差し伸べる、結城君からのメッセージがあった。

 ——いつも、いつもそう。結城君はいつも私に気付いて助けてくれる。
 なんで分かったの? 今、すごく辛い事。

 心が不安定に揺れて、熱さが込み上げてくる。心配してくれる結城君に、一人じゃないと言ってくれる結城君に、もう“大丈夫だよ”と偽りたくなかった。

 “寝れないの”

 そう一言だけ送信すると、すぐにスマホが震え出して、ブー、ブー、と手の中で振動が止まらない。眩しく光る画面には結城君の名前と共に着信の表示があって、慌てて私は通話マークに触れた。
 ドキドキ、心臓が高鳴っているのを感じながら耳に当てると、その奥から機械越しでは初めて聞いた結城君の声が聞こえてくる。

『穂高さん?』
「……うん」
『元気ないね。寝れないんだ』
「……うん」
『分かるよ、夜って苦しくなるよね。一人で閉じ込められたみたいに』

 それはまるで、私の心が覗き込まれたみたいで。
 どう言葉にしようかと悩んでる間に、結城君は分かってるよと言ってくれる。
 結城君は、駄目で頑張れなくなってる私を突き放したりなんてしない。
 なんでだろう。

「なんでいつも、分かってくれるの?」

 思わず呟いた言葉に、『え? 言ったじゃん』と、小さく笑った様な声と共に結城君は教えてくれた。

『俺も同じ経験があるんだよ』
「寝れなかったり、息が苦しくて頭がぐらぐらしたり?」
『そう』
「夜になるほど嫌な事しか考えられなくて、明日が来るのが怖かったり?」
『そう』

 淡々と、まるでなんともない様な声で返事が返ってくる。顔が見えない分、余計に私には結城君と私が同じだなんてその返事からではこれっぽっちも想像がつかないけど、でも、そうじゃないと結城君が私の辛さに気付いてくれる辻褄が合わない。
 結城君は、私と同じ気持ちを共有してくれる……?

「……私、明日が来るのが怖いの。だって学校に行かなきゃならないでしょ? そしたらまた私は嫌で駄目な自分を目の当たりにしないといけないから」
『…………』
「見つかるの。気付かない振り出来ないの。自分が嫌で嫌で仕方なくて、どんどん嫌いになってくの。不安な事ばっかりで、嫌な事ばっかりで、全部投げ出せたら良いのにって思う。明日が来なければ良いのにって」