その時のニカっと笑った彼女はとても眩しくて、私はそんな彼女の事がますます好きになったのだ。彼女が彼女らしく居る事は私にとってもなんだか誇らしく嬉しい事だったから。……なのに、それがいつからだろう。
影響される様に派手になっていく周りの女子達。私の仲良しグループ。それに伴い変化していく無遠慮な話題。それが飛び交い、そこに参加する毎日……今はもう、それが嫌で嫌で仕方無かった。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。今更このグループを抜ける度胸もない。みんなの事が嫌いな訳でも無い。でも、私にはこのノリが肌に合わなくて、それがこんなにも辛いなんて。
「……なんか、苦しいな」
考えれば考えるほどに頭がズンと重く、胸がギューと締め付けられる様な心地だった。もしかして、不調の原因ってこれ?
やまない考え事にノロノロと足を進めていると、ようやく保健室と書かれた表札が見えてきて、その扉をトントンと二回ノックした。「はーい」と返事があったので、「失礼します」と扉をあけて保健室に入る。
そこは他の教室とは違う独特な匂いがして、特別な場所だという実感がふつふつと湧いた。何だろう。薬品と洗剤の匂い? それがなんだか私を緊張させて、なかなか次の行動に移れないでいると、
「あら、いらっしゃい。どうしたの?」
棒立ちでグズグズする私を見かねてか、デスクに向かっていた先生がこちらを向いて微笑みながら声を掛けてくれた。ここへどうぞと先生の前にある丸椅子に座るよう促してくれたので、ようやく私はおずおずと動き出し、そこへ座る事が出来た。
「なんだか顔色が悪いわね。どこか痛む?」
「あ、いえ……痛くは無いんですけど、なんか、怠い感じで……」
「そう。熱は? ちょっとこれで測ってみて」
渡された体温計で大人しく熱を測る。ピピッと音が鳴ったので確認すると、平熱よりは少し高め、微熱まではいかないという感じ。
「ん〜、もしかしたらこれから上がるかもしれないし、少しベッドで休んでいったら?」
「……いいんですか?」
「そりゃあそうよ、顔が完全に疲れ切ってるもの。じゃあここの利用者記録に名前とクラスを記入して」
出された用紙の今日の日付の横に“一年三組 穂高澪”と書き込むと、もう五時間目だったからかすでに何人か利用者の名前が並んでいた。サッと目を通す中に見つけた、同じ一年三組の文字。
そこには“結城洋”と書かれていた。
「じゃあ手前のベッドが空いてるから使ってね。五時間目が終わったら声掛けるから」
「はい。ありがとうございます」
影響される様に派手になっていく周りの女子達。私の仲良しグループ。それに伴い変化していく無遠慮な話題。それが飛び交い、そこに参加する毎日……今はもう、それが嫌で嫌で仕方無かった。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。今更このグループを抜ける度胸もない。みんなの事が嫌いな訳でも無い。でも、私にはこのノリが肌に合わなくて、それがこんなにも辛いなんて。
「……なんか、苦しいな」
考えれば考えるほどに頭がズンと重く、胸がギューと締め付けられる様な心地だった。もしかして、不調の原因ってこれ?
やまない考え事にノロノロと足を進めていると、ようやく保健室と書かれた表札が見えてきて、その扉をトントンと二回ノックした。「はーい」と返事があったので、「失礼します」と扉をあけて保健室に入る。
そこは他の教室とは違う独特な匂いがして、特別な場所だという実感がふつふつと湧いた。何だろう。薬品と洗剤の匂い? それがなんだか私を緊張させて、なかなか次の行動に移れないでいると、
「あら、いらっしゃい。どうしたの?」
棒立ちでグズグズする私を見かねてか、デスクに向かっていた先生がこちらを向いて微笑みながら声を掛けてくれた。ここへどうぞと先生の前にある丸椅子に座るよう促してくれたので、ようやく私はおずおずと動き出し、そこへ座る事が出来た。
「なんだか顔色が悪いわね。どこか痛む?」
「あ、いえ……痛くは無いんですけど、なんか、怠い感じで……」
「そう。熱は? ちょっとこれで測ってみて」
渡された体温計で大人しく熱を測る。ピピッと音が鳴ったので確認すると、平熱よりは少し高め、微熱まではいかないという感じ。
「ん〜、もしかしたらこれから上がるかもしれないし、少しベッドで休んでいったら?」
「……いいんですか?」
「そりゃあそうよ、顔が完全に疲れ切ってるもの。じゃあここの利用者記録に名前とクラスを記入して」
出された用紙の今日の日付の横に“一年三組 穂高澪”と書き込むと、もう五時間目だったからかすでに何人か利用者の名前が並んでいた。サッと目を通す中に見つけた、同じ一年三組の文字。
そこには“結城洋”と書かれていた。
「じゃあ手前のベッドが空いてるから使ってね。五時間目が終わったら声掛けるから」
「はい。ありがとうございます」



