「……でも、だったら離れれば良いはずなのに、それが出来ないでいて。結局私はそういう時、いつも嫌だなと思いながら一緒になって頷いていて。そんな自分が結局一番嫌な人間だって、いつも気付かされるんです」
「……そうなのね」
「みんなと居ると私はみんなを、自分を、嫌いになっていくばかりで、もう嫌だって気持ちがどうしようもなく重たくって……そうするとなんか最近、夜寝れなかったり、体調が悪くなる様になって。きっと嫌だっていうこの気持ちが原因なんだなと思うんです」
「…………」
「だったらそんな気持ちにならない様に離れれば良いだけなんですけど、それも出来なくて。そんな簡単な事が出来ないなんて馬鹿みたいって、また自己嫌悪が止まらなくて……」
「……仕方ないわよ、一人は寂しいもの」
「…………」
一人になるのが寂しいから、私はグループを抜けられないのだろうか。
もちろん一人になるのも嫌だ。私の居場所はここにしかない。だからみんなから嫌われるのは怖いし、出来れば仲良しでいたいと思う。……でも。
「私の仲が良い……というか、憧れてる子がそのグループのリーダーみたいな感じで……私、その子の事が好きで」
ニカっと笑ってくれる、人を元気づける明るさを持つ穂乃果ちゃん。入学してからずっと、穂乃果ちゃんの隣が私の居場所だった。だけど彼女は私と違って嫌な話でも笑ってる。私がこのグループを嫌だと感じて離れる事になれば、それは穂乃果ちゃんを否定する事になる。
「離れる事で、嫌われたくないんです。穂乃果ちゃんとは仲良いままで居たい」
「離れたら嫌われるって可笑しくね?」
それは唐突に生まれた疑問をそのまま口にしたという無遠慮さで、落とし物の様に突然目の前に現れた疑問。
先生と私の視線がハッと声の主である結城君へと集まると、「だってそうだろ?」と彼は真面目な顔をする。
「穂高さんはそんな事で縁切る奴に憧れんの?」
「…………」
——キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。五時間目が始まった合図だ。
「きょ、教室に戻ります」
慌てて立ち上がると私は一人で保健室を出る。後ろから結城君がついてきているかなんて確認する心の余裕はこれっぽっちも残っていなかった。
『穂高さんはそんな事で縁切る奴に憧れんの?』
正しくその通りだと思った。そんな事、今まで考えた事も無かった。
「……そうなのね」
「みんなと居ると私はみんなを、自分を、嫌いになっていくばかりで、もう嫌だって気持ちがどうしようもなく重たくって……そうするとなんか最近、夜寝れなかったり、体調が悪くなる様になって。きっと嫌だっていうこの気持ちが原因なんだなと思うんです」
「…………」
「だったらそんな気持ちにならない様に離れれば良いだけなんですけど、それも出来なくて。そんな簡単な事が出来ないなんて馬鹿みたいって、また自己嫌悪が止まらなくて……」
「……仕方ないわよ、一人は寂しいもの」
「…………」
一人になるのが寂しいから、私はグループを抜けられないのだろうか。
もちろん一人になるのも嫌だ。私の居場所はここにしかない。だからみんなから嫌われるのは怖いし、出来れば仲良しでいたいと思う。……でも。
「私の仲が良い……というか、憧れてる子がそのグループのリーダーみたいな感じで……私、その子の事が好きで」
ニカっと笑ってくれる、人を元気づける明るさを持つ穂乃果ちゃん。入学してからずっと、穂乃果ちゃんの隣が私の居場所だった。だけど彼女は私と違って嫌な話でも笑ってる。私がこのグループを嫌だと感じて離れる事になれば、それは穂乃果ちゃんを否定する事になる。
「離れる事で、嫌われたくないんです。穂乃果ちゃんとは仲良いままで居たい」
「離れたら嫌われるって可笑しくね?」
それは唐突に生まれた疑問をそのまま口にしたという無遠慮さで、落とし物の様に突然目の前に現れた疑問。
先生と私の視線がハッと声の主である結城君へと集まると、「だってそうだろ?」と彼は真面目な顔をする。
「穂高さんはそんな事で縁切る奴に憧れんの?」
「…………」
——キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。五時間目が始まった合図だ。
「きょ、教室に戻ります」
慌てて立ち上がると私は一人で保健室を出る。後ろから結城君がついてきているかなんて確認する心の余裕はこれっぽっちも残っていなかった。
『穂高さんはそんな事で縁切る奴に憧れんの?』
正しくその通りだと思った。そんな事、今まで考えた事も無かった。



