その言葉に、ハッと息をのんだ。何の事で、誰の事を指しているのか、私にはすぐに分かったから。
「な、なんで……?」
どうして分かったの?
思わず一歩距離を取ろうとして失敗に終わる。だって結城君が私の手を掴んだままだったから。
どうしよう、ついにバレた。バレてしまった。そんなに私は分かり易く態度に出していたのだろうか。こんなのもう、みんなにも伝わってるに決まってる。どうしよう、この後、どうしよう……!
——その時、背中に感じた手のひらの温もり。
「いや、落ち着いて。大丈夫だから」
ゆっくり上下に摩られる動きに意識がいくと、また自分の心臓がバクバクと大きく動き出している事に気がついた。指先が少し震えて、じんと痺れている。
あれ?と思った。確か、このまま息が苦しくなって、立って居られなくなったのが今朝の私。あの時もこうやって結城君に背中を摩って貰って……もしかしてこれは、朝の状態になる前触れ? てことはまさか、結城君は、
「私がこうなる事、分かったの?」
だから、体調が悪い振りをして私を連れ出したの?
自分で言っておきながら、なんだかくらくらする頭でそんな馬鹿なと考える。だって、なんで結城君に私の体調が悪くなるタイミングが分かるの? 本人である私にだって今の自分に何が起こってるのか分からないのに……本当に私、どうしちゃったんだろう。
少しでも気を抜くとすぐにあの時の状態になってしまうような気がして怖かった。何をした訳でもないのに。あの時の過呼吸は本当に辛かったから、もう二度となりたくない。でも思えば思う程、心臓がドキドキしてくる。
「あー、まぁその、保健室まで行きがてら話しますか」
動けない程では無いと判断した結城君は、「保健室の方が安心出来るでしょ」と、背中を摩りながら私を支えてくれて、結局二人で保健室へ向かう事になった。
体育館を出る時とはすっかり逆の立場で、歩く結城君の歩調はゆっくりと、私のペースに合わせてくれているのだと伝わってくる。
大分心臓の動きも落ち着いたけど、とぼとぼと歩く私の心の中は不安でいっぱいだった。だって、まるで昨日までの自分とは違う自分になってしまったみたいだったから。体調も、置かれている状況も、何もかもが違う。今の私に何が起こっているのかがさっぱり分からなくて、それはとても怖い事だと思った。
「な、なんで……?」
どうして分かったの?
思わず一歩距離を取ろうとして失敗に終わる。だって結城君が私の手を掴んだままだったから。
どうしよう、ついにバレた。バレてしまった。そんなに私は分かり易く態度に出していたのだろうか。こんなのもう、みんなにも伝わってるに決まってる。どうしよう、この後、どうしよう……!
——その時、背中に感じた手のひらの温もり。
「いや、落ち着いて。大丈夫だから」
ゆっくり上下に摩られる動きに意識がいくと、また自分の心臓がバクバクと大きく動き出している事に気がついた。指先が少し震えて、じんと痺れている。
あれ?と思った。確か、このまま息が苦しくなって、立って居られなくなったのが今朝の私。あの時もこうやって結城君に背中を摩って貰って……もしかしてこれは、朝の状態になる前触れ? てことはまさか、結城君は、
「私がこうなる事、分かったの?」
だから、体調が悪い振りをして私を連れ出したの?
自分で言っておきながら、なんだかくらくらする頭でそんな馬鹿なと考える。だって、なんで結城君に私の体調が悪くなるタイミングが分かるの? 本人である私にだって今の自分に何が起こってるのか分からないのに……本当に私、どうしちゃったんだろう。
少しでも気を抜くとすぐにあの時の状態になってしまうような気がして怖かった。何をした訳でもないのに。あの時の過呼吸は本当に辛かったから、もう二度となりたくない。でも思えば思う程、心臓がドキドキしてくる。
「あー、まぁその、保健室まで行きがてら話しますか」
動けない程では無いと判断した結城君は、「保健室の方が安心出来るでしょ」と、背中を摩りながら私を支えてくれて、結局二人で保健室へ向かう事になった。
体育館を出る時とはすっかり逆の立場で、歩く結城君の歩調はゆっくりと、私のペースに合わせてくれているのだと伝わってくる。
大分心臓の動きも落ち着いたけど、とぼとぼと歩く私の心の中は不安でいっぱいだった。だって、まるで昨日までの自分とは違う自分になってしまったみたいだったから。体調も、置かれている状況も、何もかもが違う。今の私に何が起こっているのかがさっぱり分からなくて、それはとても怖い事だと思った。



