そして、一時間目が終わるまでには戻るぞと、まだ先ほどの余韻が残る疲れた身体をベッドに沈ませて目を閉じる。
カーテンの外側からはカサカサ、パタパタと先生の動く音が聞こえてきて、昨日と同じ様にこの音が好きだなと感じた。なんだろう、落ち着く……安心するのかな。一人なのに一人じゃなくて、ここに居る事を受け入れて貰ってる、みたいな——……
それから多分、私はそのままころっと眠りについたのだろうと思う。そこまでしか私の記憶が無かったから。その次に続く記憶は、一時間目の終わりのチャイムとほぼ同時に開かれた保健室のドアの音と、
「行って来たから、一回休む」
という結城君の声で、その瞬間まだ寝起きでふわふわしていた思考がハッとクリアになり、自然と私はベッドのカーテンを開いていた。
途端に集まる、私へ向けられた二人分の視線。
「穂高さん、起きたのね」
そう言って先生がこちらに向かって声を掛けるのと同時に、結城君はパッと私から目を逸らすと、もう一つのベッドの方へ向かってしまって——、
「あの、結城君!」
慌てて私は彼の横顔に声を掛けた。ピタリと足を止めて、ゆっくりと彼がこちらを見やる。その動きはなんだかすごく怠そうで……それはそうか。だから保健室に来たのだ。
「えと、その、さっきはありがとうございました」
「…………」
「あの、こういう事になったの初めてで、本当に、あの時助けて貰えてなかったら死んじゃってたのかもって思うくらい怖かったから、本当に居てくれて良かったなと思って、なのに一杯いっぱいでちゃんとお礼も、言えてなかったなって……」
「…………」
「つ、疲れてる所にごめんなさい。どうぞ寝て下さい……」
やつれた顔でじとりと私を見る彼の無言に耐えられず、もう終わりですと頭を下げた。多分今じゃなかった。タイミングを誤ったのだ。だって結城君は体調が悪いのに、こんなまとまってもいない私のぐだぐだな話に付き合わされて、きっとたまったものじゃないだろう。黙って聞いて貰えただけ有難いというものだ。
カーテンの外側からはカサカサ、パタパタと先生の動く音が聞こえてきて、昨日と同じ様にこの音が好きだなと感じた。なんだろう、落ち着く……安心するのかな。一人なのに一人じゃなくて、ここに居る事を受け入れて貰ってる、みたいな——……
それから多分、私はそのままころっと眠りについたのだろうと思う。そこまでしか私の記憶が無かったから。その次に続く記憶は、一時間目の終わりのチャイムとほぼ同時に開かれた保健室のドアの音と、
「行って来たから、一回休む」
という結城君の声で、その瞬間まだ寝起きでふわふわしていた思考がハッとクリアになり、自然と私はベッドのカーテンを開いていた。
途端に集まる、私へ向けられた二人分の視線。
「穂高さん、起きたのね」
そう言って先生がこちらに向かって声を掛けるのと同時に、結城君はパッと私から目を逸らすと、もう一つのベッドの方へ向かってしまって——、
「あの、結城君!」
慌てて私は彼の横顔に声を掛けた。ピタリと足を止めて、ゆっくりと彼がこちらを見やる。その動きはなんだかすごく怠そうで……それはそうか。だから保健室に来たのだ。
「えと、その、さっきはありがとうございました」
「…………」
「あの、こういう事になったの初めてで、本当に、あの時助けて貰えてなかったら死んじゃってたのかもって思うくらい怖かったから、本当に居てくれて良かったなと思って、なのに一杯いっぱいでちゃんとお礼も、言えてなかったなって……」
「…………」
「つ、疲れてる所にごめんなさい。どうぞ寝て下さい……」
やつれた顔でじとりと私を見る彼の無言に耐えられず、もう終わりですと頭を下げた。多分今じゃなかった。タイミングを誤ったのだ。だって結城君は体調が悪いのに、こんなまとまってもいない私のぐだぐだな話に付き合わされて、きっとたまったものじゃないだろう。黙って聞いて貰えただけ有難いというものだ。



