
作品番号 1699449
最終更新 2023/06/08
彼のバイクに乗って、夜明け前の海を目指している――。
この話は過去の深い傷から癒やされつつあるときに、彼と出会った話。
バイクは誰も走っていない真夜中の国道を走っている。
両腕で感じる伊織(いおり)くんの体温は新鮮で、ずっとこうやってくっついていたいなって思ったけど、まだ関係が友達以上恋人未満のままじゃ、これ以上は近づけないなってふと思った。
「バイク乗り始めてもう、2年半くらいなるから、ちょっとは上手くなってないと、楽しくないよ」
「それって、16歳で取ったの? 免許」
「あぁ。うちのオヤジもバイク好きでさ、取らせてくれたんだよ」
「へぇ。すごいね」
「その所為で、車の免許は持ってないけどね」
「すごいね」
「でしょ。俺、普通じゃないんだ」と得意げにさらりと言ってしまう伊織くんのことが単純にかっこよく感じた。
『普通じゃない』という伊織くんの言葉がきっかけで、頭の中で『普通じゃないよ』と高校生だったとき、冷たく友達に言われたのを思い出し、嫌になって小刻みに頭を振って、私はそれを忘れる努力をした。
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール様(https://fromtheasia.com/illustration/nocopyrightgirl)
この話は過去の深い傷から癒やされつつあるときに、彼と出会った話。
バイクは誰も走っていない真夜中の国道を走っている。
両腕で感じる伊織(いおり)くんの体温は新鮮で、ずっとこうやってくっついていたいなって思ったけど、まだ関係が友達以上恋人未満のままじゃ、これ以上は近づけないなってふと思った。
「バイク乗り始めてもう、2年半くらいなるから、ちょっとは上手くなってないと、楽しくないよ」
「それって、16歳で取ったの? 免許」
「あぁ。うちのオヤジもバイク好きでさ、取らせてくれたんだよ」
「へぇ。すごいね」
「その所為で、車の免許は持ってないけどね」
「すごいね」
「でしょ。俺、普通じゃないんだ」と得意げにさらりと言ってしまう伊織くんのことが単純にかっこよく感じた。
『普通じゃない』という伊織くんの言葉がきっかけで、頭の中で『普通じゃないよ』と高校生だったとき、冷たく友達に言われたのを思い出し、嫌になって小刻みに頭を振って、私はそれを忘れる努力をした。
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール様(https://fromtheasia.com/illustration/nocopyrightgirl)