今日もこの世界はよい天気。ぽかぽかの日差しが黄金色の大地を照らし、風が小さく揺れていた。
「んふは!!!美味しぃ……」
私は思わず表情筋を緩めてほっぺたを落とした。手元にはクリームパン、この間陽翔に教えてもらった「ショウテンガイ」の隅にひっそりと佇んでいるパン屋さんで見つけたものだ。ふわふわの生地にたっぷりと包まれたカスタードクリームは濃厚で優しい甘さ。まさに至福のひとときだ。
「むむむっ!!!新しいものはっけーんですっ!!」
突然背後から声がして、思わず振り返った。そこには白衣を身にまとった可愛らしい女の子が興味津々な顔でクリームパンを見ている。
「これは何ですかっ⁉」
「ひぇ……えっと……あなたは?」
私が驚きながら問いかけると、少女はその場で一回転をして腰に手を当てる。
真っ白な白衣の裾が風に吹かれて一瞬天使の羽が生えたように見えた。
紫の瞳がきらりと光ってぽかんととぼけた顔の私を反射させる。
「僕はマキです!あなたはむすびさんですねっ⁉⁉」
「なななんで私の名前を知ってるんですか?」
「ふふーん、ここの住人さんはほぼ皆知ってますよ‼野茨くんの素顔を知るために必要な情報かと思いまして!」
そういうとマキさんは得意そうに胸をのけぞらせた。
野茨……聞き覚えのない名前だ。私はまだこの世界のことを知り尽くしていない。まだまだ出会ってないだけでここには沢山の住人がいるみたいだ。
「それにしてもこの黄色いもの……可愛いですね‼僕、この優しい黄色好きです。なんていうものなんですか?」
「これ……?」
私は手に持っているパンを掲げる。途端に彼女は白衣のポケットからカメラを取り出して私の手首から上を連写しだした。
「これはクリームパンっていうんだよ〜。黄色いのはね、カスタードっていって卵から作られるから黄色いんだって!」
「カスタードっ⁉⁉また新しい知識が増えました!これは野茨くんの素顔を見るのに使えるかもしれません……」
にこにこしながらクリームパンを見つめるマキさんは幼く見えてとても可愛い。
私も穏やかな気持ちでカメラを構える彼女を眺めていると、突然マキさんがバッと真剣な表情でこちらを見つめてきた。
「食べてもいいですか……?」
反射的にクリームパンを抱きしめて距離をとる私。これだけは譲れない、私の幸せの塊なのだ。
「だっ、だめです!!これは私のくりーむぱんなんです!」
「ひ、一口食べさせて下さい!!新しいものは知りたい、食べたい、感じたい!僕の心の奥がそう言ってますっ!」
「わ、私の心の奥も今にも零れ落ちそうなクリームを食べなさいって信号が出てるんです……っ!」
いい年齢の少女がクリームパンの為だけに互いの意見を主張する。その光景はあまりにも間抜けで思わず失笑してしまった。
マキさんも最初はきょとんとした表情を浮かべていたものの、私につられて大笑いし始めた。
「一緒に行きませんか?お店」
「えっ?」
「今からこのクリームパンのお店に行って、一緒に食べたいなぁ……なんて」
私が手を差し伸べると、マキさんは宝石みたいな目で私を見つめ、差し伸べた手を掴んでブンブンと振る。
「行きましょう‼一緒に!」
太陽は相変わらずあたたかい光で全てを包み込む。白衣の少女と、ワンピースの少女。2人が出会ったのはそんな日の昼下り。
「んふは!!!美味しぃ……」
私は思わず表情筋を緩めてほっぺたを落とした。手元にはクリームパン、この間陽翔に教えてもらった「ショウテンガイ」の隅にひっそりと佇んでいるパン屋さんで見つけたものだ。ふわふわの生地にたっぷりと包まれたカスタードクリームは濃厚で優しい甘さ。まさに至福のひとときだ。
「むむむっ!!!新しいものはっけーんですっ!!」
突然背後から声がして、思わず振り返った。そこには白衣を身にまとった可愛らしい女の子が興味津々な顔でクリームパンを見ている。
「これは何ですかっ⁉」
「ひぇ……えっと……あなたは?」
私が驚きながら問いかけると、少女はその場で一回転をして腰に手を当てる。
真っ白な白衣の裾が風に吹かれて一瞬天使の羽が生えたように見えた。
紫の瞳がきらりと光ってぽかんととぼけた顔の私を反射させる。
「僕はマキです!あなたはむすびさんですねっ⁉⁉」
「なななんで私の名前を知ってるんですか?」
「ふふーん、ここの住人さんはほぼ皆知ってますよ‼野茨くんの素顔を知るために必要な情報かと思いまして!」
そういうとマキさんは得意そうに胸をのけぞらせた。
野茨……聞き覚えのない名前だ。私はまだこの世界のことを知り尽くしていない。まだまだ出会ってないだけでここには沢山の住人がいるみたいだ。
「それにしてもこの黄色いもの……可愛いですね‼僕、この優しい黄色好きです。なんていうものなんですか?」
「これ……?」
私は手に持っているパンを掲げる。途端に彼女は白衣のポケットからカメラを取り出して私の手首から上を連写しだした。
「これはクリームパンっていうんだよ〜。黄色いのはね、カスタードっていって卵から作られるから黄色いんだって!」
「カスタードっ⁉⁉また新しい知識が増えました!これは野茨くんの素顔を見るのに使えるかもしれません……」
にこにこしながらクリームパンを見つめるマキさんは幼く見えてとても可愛い。
私も穏やかな気持ちでカメラを構える彼女を眺めていると、突然マキさんがバッと真剣な表情でこちらを見つめてきた。
「食べてもいいですか……?」
反射的にクリームパンを抱きしめて距離をとる私。これだけは譲れない、私の幸せの塊なのだ。
「だっ、だめです!!これは私のくりーむぱんなんです!」
「ひ、一口食べさせて下さい!!新しいものは知りたい、食べたい、感じたい!僕の心の奥がそう言ってますっ!」
「わ、私の心の奥も今にも零れ落ちそうなクリームを食べなさいって信号が出てるんです……っ!」
いい年齢の少女がクリームパンの為だけに互いの意見を主張する。その光景はあまりにも間抜けで思わず失笑してしまった。
マキさんも最初はきょとんとした表情を浮かべていたものの、私につられて大笑いし始めた。
「一緒に行きませんか?お店」
「えっ?」
「今からこのクリームパンのお店に行って、一緒に食べたいなぁ……なんて」
私が手を差し伸べると、マキさんは宝石みたいな目で私を見つめ、差し伸べた手を掴んでブンブンと振る。
「行きましょう‼一緒に!」
太陽は相変わらずあたたかい光で全てを包み込む。白衣の少女と、ワンピースの少女。2人が出会ったのはそんな日の昼下り。