トントン、と肩を叩かれた気がして、ゆかは夢の中から現実の世界へと引き戻された。
まさか公園で寝てしまっていたなんて。
右手で目を擦り、ふと顔を上げると、そこには見覚えのある顔があった。
この子、この前の女の子じゃん。
ゆかの顔を覗き込む女の子の顔は青白く、今にも倒れてしまうのではないかというほど具合悪そうに見えた。
つい数日前会った時よりもさらに痩せ衰えてしまったように見え、ゆかはハッと息をのんだ。
女の子は何か言いたそうな表情を浮かべているけれど、自分からは何も言わないので、何か声をかけてあげないとって思っていると、そっとゆかの隣に腰を下ろした。
隣に座ると、女の子の身体の薄さが、さらに際立って見えた。
普通の食欲不振とかでは考えられないほどの、病的な細さ。
こうやって日常生活を送っていることが、不思議でならない。
「久しぶりだね。この前はチロルチョコありがとう。あれ、私の大好きなやつなの。美味しかったよ」
ゆかがそう言うと、凍りついていた女の子の顔が少しだけ笑顔になったような気がした。
「私ね、この公園が大好きでよく来てるんだよね。さっきおじさんに話しかけられて、ちょっとびっくりしちゃったけど。ここにはよく来るの?」
本当は名前を呼びたかったけれど、まだ聞いていなかったことを思い出し、ぎこちない会話になってしまう。
「よく来ます。近くに住んでるんで。私はりえって言います。お名前教えてもらってもいいですか?」
ゆかは女の子から先に名前を尋ねられたことに驚いたけれど、笑顔でゆかっていうの、と答えた。
だけど、その後の会話が止まってしまい、2人の間に長い沈黙が流れる。
下を俯いたままのりえの手が小さく震えているのに気がついたゆかが、そっと自分の手をりえに添えると、りえが消えてしまいそうなほどの小さな声で言った。
「私、高校1年生なんですけど学校に行ってないんです。ずっと・・・・・・。もう行けないと思います」
ゆかも薄々感じていたことではあったけれど、実際に声に出して言われると、返す言葉が見つからない。
「私って居場所がないんですよね・・・・・・家もあんまり好きじゃない」
りえはゆかに助けを求めているようにも聞こえた。
居場所という安全地帯を探しながら迷い込んでしまった、小さな子どものようだった。
「どうして? お父さんとか、お母さんとかりえちゃんのこと心配するでしょ?」
「ありえないと思います。うちの親、そういったタイプではないので」
りえの言葉ははじめて聞くような力強さだった。
全てを悟っているような、諦めているような、だけど助けを求めているような、そんな気がした。
「そうなんだ。色々あるんだね・・・・・・。何か話したいことがあったらいつでも私に話して。私いつも暇してるし話くらいは聞くことできるから。上手なアドバイスとかはできないと思うけど」
りえの力になりたいっていう気持ちと、果たしてそんこと自分にできるのだろうかっていう気持ちで、心が大きく揺れ動いたゆかはじっと足元を見つめた。
まさか公園で寝てしまっていたなんて。
右手で目を擦り、ふと顔を上げると、そこには見覚えのある顔があった。
この子、この前の女の子じゃん。
ゆかの顔を覗き込む女の子の顔は青白く、今にも倒れてしまうのではないかというほど具合悪そうに見えた。
つい数日前会った時よりもさらに痩せ衰えてしまったように見え、ゆかはハッと息をのんだ。
女の子は何か言いたそうな表情を浮かべているけれど、自分からは何も言わないので、何か声をかけてあげないとって思っていると、そっとゆかの隣に腰を下ろした。
隣に座ると、女の子の身体の薄さが、さらに際立って見えた。
普通の食欲不振とかでは考えられないほどの、病的な細さ。
こうやって日常生活を送っていることが、不思議でならない。
「久しぶりだね。この前はチロルチョコありがとう。あれ、私の大好きなやつなの。美味しかったよ」
ゆかがそう言うと、凍りついていた女の子の顔が少しだけ笑顔になったような気がした。
「私ね、この公園が大好きでよく来てるんだよね。さっきおじさんに話しかけられて、ちょっとびっくりしちゃったけど。ここにはよく来るの?」
本当は名前を呼びたかったけれど、まだ聞いていなかったことを思い出し、ぎこちない会話になってしまう。
「よく来ます。近くに住んでるんで。私はりえって言います。お名前教えてもらってもいいですか?」
ゆかは女の子から先に名前を尋ねられたことに驚いたけれど、笑顔でゆかっていうの、と答えた。
だけど、その後の会話が止まってしまい、2人の間に長い沈黙が流れる。
下を俯いたままのりえの手が小さく震えているのに気がついたゆかが、そっと自分の手をりえに添えると、りえが消えてしまいそうなほどの小さな声で言った。
「私、高校1年生なんですけど学校に行ってないんです。ずっと・・・・・・。もう行けないと思います」
ゆかも薄々感じていたことではあったけれど、実際に声に出して言われると、返す言葉が見つからない。
「私って居場所がないんですよね・・・・・・家もあんまり好きじゃない」
りえはゆかに助けを求めているようにも聞こえた。
居場所という安全地帯を探しながら迷い込んでしまった、小さな子どものようだった。
「どうして? お父さんとか、お母さんとかりえちゃんのこと心配するでしょ?」
「ありえないと思います。うちの親、そういったタイプではないので」
りえの言葉ははじめて聞くような力強さだった。
全てを悟っているような、諦めているような、だけど助けを求めているような、そんな気がした。
「そうなんだ。色々あるんだね・・・・・・。何か話したいことがあったらいつでも私に話して。私いつも暇してるし話くらいは聞くことできるから。上手なアドバイスとかはできないと思うけど」
りえの力になりたいっていう気持ちと、果たしてそんこと自分にできるのだろうかっていう気持ちで、心が大きく揺れ動いたゆかはじっと足元を見つめた。