時は1800年前の弥生時代。
まさに禁断の果実と言ってもいい鉄の出現は、平和の均衡を脆くも瓦解させた。

倭国では100余りあるクニが、領土を盗り合う争いが勃発する。
その中心は主に、西国のクニ。
戦乱の音はいつになっても鳴り止まず、荒廃していく大地に民の心は腐敗していた。

東国一の巨大国家、高志(こし)と言われるクニは、この争いを静観していた。
王である俾都久辰為(へつくしいの)(みこと)は、西国から戦の救援要請を再三伝えられても、決して首を縦に振ることはしなかった。

西国とは違い、東国はクニ同士連携して平和を維持しており、もし戦に出向けば連携しているクニも無用な戦に捲き込む可能性があるからだ。

並々ならぬ努力のもとで、多くのクニを長年守り通し、なんとか危険から回避していた。
そんな俾都久辰為(へつくしいの)(みこと)も歳をとり、王位を子供へ継承する時が来た。

しかし、ここで重大な問題が起きてしまうのである。