ミニチュアダックスフンドのあんこを連れて河川敷までやってきた。
例の写真の河川敷だ。
定番の散歩コースなだけあって、よく犬連れの人に会い、顔見知りになることもしばしば。
案の定と言うか、向こうを見るとしば犬の小夏と、男の子。
「久しぶりに会うね。」
「ね。なんか最近会わなかったよね。」
「俺テスト期間だったんだよね。」
「あー。私もだわ…。」
「その様子ですと結果は悲惨だったっぽいですね。」
「そう言うそっちは澄ました顔してますけど良かったんでしょうね。」
「5科目合計480点くらい。」
「え!?やば!本当に人間!?」
「正直どうでもいいけどねー。」
「いやいや…。点が低くて悪いことはあっても高くて悪いことはないんだから。」
この通り頭がいいんですねー。
結構イケメンだし…?
若干クールっぽい顔しといて意外と面白いし…。
チラリと横を見ると目が合う。
ジッと見てくるから何かと思えば不意に口を開いた。
「……なんかあった?お昼ご飯にピーマンが入ってたとか?」
「いや私ピーマン嫌いじゃ無いし。なんもないよー。……いやちょっとまって。ある。」
「あるんかい。」
「いやさー…。」
小夏をもふもふしながら全部話す。
この人なんじゃねって考えた人いる?私も思った。
なんだけどさ、お互い名前言ったことないから私の名前知ってるはずないし、連絡先も知らないし。
この人だったらいいな、とは思うけど。
「なんで返事しないの?」
「えっ?だって誰かわかんないし…。」
「誰かわかればいいの?なんで返事を迷ってるの?断っちゃえばいいのに。」
「…もしかしたら好きな人かも…とか思うから、かな。確かに断っちゃえばいいのかな。でもせっかく告白してくれたしな…って思うの。人生初告白ってのもあるかもな…。」
「好きな人いんの?」
いやそれ聞いちゃう?
「……ぅん。」
「どんな人?誰?」
あなたです…なんて言えない。無理無理無理。
よし、じゃあ必殺技!可愛く誤魔化す!
「……ひっみつ〜⭐︎」
「…。」
滑った。気まずい。
「ごめん黙んないで!?」
「慣れないことはしないべきだと思うよ。」
「…はい。すみません…。」
「で?誰?」
「言えません。」
「ってことは俺の知ってる人ってことか。」
…墓穴を掘ったみたいです。
「はい、誰?」
彼が言いたいのはつまり。
外で知り合ってる私たちに、共通の知り合いがいるはずなく…。
俺?って聞きたいのか。そう言うことなのか。
これってさ。脈ありだと思う?
「私の好きな人は、」
「うん。」
「世界一、」
「うん。」
「可愛い、」
「おぉ。」
「しば犬を、」
「ん?」
「飼ってます。」
「ほう。」
「その名は、」
「はい。」
「小夏です。」
「と、言いますと?」
「察してよ。」
「ちゃんと聞きたいです。」
「あなたです…。」
言ってしまった感ある。
でも多分こうでもしないと言えなかっただろうから後悔はあんまり無い。
何も返答がないので思わず彼を見上げると川の向こうを見ていた。
「今さ。」
彼は言った。
「俺、好きな人に告白してるんだよね。」
思わず小夏を撫でる手が止まった。
「まだ返事来てないんだけどさ。だから、その返事が帰ってきたら、告白の返事するね。」
なにそれ。
なにそれなにそれなにそれ。
はは。期待した私がバカみたい。調子乗って告った私がバカみたい。
パタパタと目から溢れて地面に黒いシミができていく。
「それってOKされたら私のこと振って、無理だったら私と付き合うってこと?嫌だよ。そんなおこぼれ、いらない。
私は私のこと好きな人と付き合いたいの。そんな人だと思わなかった。」
彼は何も言わない。
無言は肯定ってやつだ。否定してよ、せめて。
「…帰るね。いくよ、あんこ。」
去り際の彼はなぜか少し寂しそうな顔をしていた。
なんで。なんであんたが。
その顔を頭から振り払うようにして走って家に帰り、ベットに顔を埋めた。
例の写真の河川敷だ。
定番の散歩コースなだけあって、よく犬連れの人に会い、顔見知りになることもしばしば。
案の定と言うか、向こうを見るとしば犬の小夏と、男の子。
「久しぶりに会うね。」
「ね。なんか最近会わなかったよね。」
「俺テスト期間だったんだよね。」
「あー。私もだわ…。」
「その様子ですと結果は悲惨だったっぽいですね。」
「そう言うそっちは澄ました顔してますけど良かったんでしょうね。」
「5科目合計480点くらい。」
「え!?やば!本当に人間!?」
「正直どうでもいいけどねー。」
「いやいや…。点が低くて悪いことはあっても高くて悪いことはないんだから。」
この通り頭がいいんですねー。
結構イケメンだし…?
若干クールっぽい顔しといて意外と面白いし…。
チラリと横を見ると目が合う。
ジッと見てくるから何かと思えば不意に口を開いた。
「……なんかあった?お昼ご飯にピーマンが入ってたとか?」
「いや私ピーマン嫌いじゃ無いし。なんもないよー。……いやちょっとまって。ある。」
「あるんかい。」
「いやさー…。」
小夏をもふもふしながら全部話す。
この人なんじゃねって考えた人いる?私も思った。
なんだけどさ、お互い名前言ったことないから私の名前知ってるはずないし、連絡先も知らないし。
この人だったらいいな、とは思うけど。
「なんで返事しないの?」
「えっ?だって誰かわかんないし…。」
「誰かわかればいいの?なんで返事を迷ってるの?断っちゃえばいいのに。」
「…もしかしたら好きな人かも…とか思うから、かな。確かに断っちゃえばいいのかな。でもせっかく告白してくれたしな…って思うの。人生初告白ってのもあるかもな…。」
「好きな人いんの?」
いやそれ聞いちゃう?
「……ぅん。」
「どんな人?誰?」
あなたです…なんて言えない。無理無理無理。
よし、じゃあ必殺技!可愛く誤魔化す!
「……ひっみつ〜⭐︎」
「…。」
滑った。気まずい。
「ごめん黙んないで!?」
「慣れないことはしないべきだと思うよ。」
「…はい。すみません…。」
「で?誰?」
「言えません。」
「ってことは俺の知ってる人ってことか。」
…墓穴を掘ったみたいです。
「はい、誰?」
彼が言いたいのはつまり。
外で知り合ってる私たちに、共通の知り合いがいるはずなく…。
俺?って聞きたいのか。そう言うことなのか。
これってさ。脈ありだと思う?
「私の好きな人は、」
「うん。」
「世界一、」
「うん。」
「可愛い、」
「おぉ。」
「しば犬を、」
「ん?」
「飼ってます。」
「ほう。」
「その名は、」
「はい。」
「小夏です。」
「と、言いますと?」
「察してよ。」
「ちゃんと聞きたいです。」
「あなたです…。」
言ってしまった感ある。
でも多分こうでもしないと言えなかっただろうから後悔はあんまり無い。
何も返答がないので思わず彼を見上げると川の向こうを見ていた。
「今さ。」
彼は言った。
「俺、好きな人に告白してるんだよね。」
思わず小夏を撫でる手が止まった。
「まだ返事来てないんだけどさ。だから、その返事が帰ってきたら、告白の返事するね。」
なにそれ。
なにそれなにそれなにそれ。
はは。期待した私がバカみたい。調子乗って告った私がバカみたい。
パタパタと目から溢れて地面に黒いシミができていく。
「それってOKされたら私のこと振って、無理だったら私と付き合うってこと?嫌だよ。そんなおこぼれ、いらない。
私は私のこと好きな人と付き合いたいの。そんな人だと思わなかった。」
彼は何も言わない。
無言は肯定ってやつだ。否定してよ、せめて。
「…帰るね。いくよ、あんこ。」
去り際の彼はなぜか少し寂しそうな顔をしていた。
なんで。なんであんたが。
その顔を頭から振り払うようにして走って家に帰り、ベットに顔を埋めた。