「今日から一週間、白井トミ子様宛に、ずっと日付指定の荷物があるんですよ」
「え、一週間ずっと?ここに荷物が来るってこと?」
「はい。なので……受け取り、明日もよろしくお願いします」

 そう言って、配達員さんは自転車に跨った。自転車の後ろに、大きなカゴが引っ付いている。なるほど。あのカゴの中に、たくさんの荷物を入れてるんだね。
 いやいや、今はそうじゃなくて。
 混乱と納得の狭間にいる私を置いてけぼりにしたまま、配達員さんは颯爽と去って行った。あ、伝票にサインをしなかったけど、良かったのかな?まぁ明日も来てくれるっていうから、その時でいいか。
 にしても――

「おばあちゃん、一体なにを頼んだんだろう?」

 私が持っている荷物、すごく軽い。本当に中身があるのかな?空箱じゃないの?
 振ってみると、カサカサと音がする。どうやら、何かが入っているらしい。

「未開封のままってのもアレだし、ね。思い切って、開けちゃおう」

 もしも食べ物だったらいけないし――と保険をかけておいて。溶け始めたアイスと小柄な段ボールを持って、家の中に入る。そしてテープを取って中を開くと……。そこには、全く予想しなかった物が入っていた。

「これは、ひらがなの”た”?」

 段ボールの中身。
 それは、木製のひらがなブロック。しかも「た」の一文字だけ。

「こんなもの、一体何に使うんだろう?」

 確かに、小さい子がひらがなを覚える時に、あったら便利そうな学習ツールだ。だけど、なんで「た」の一文字だけ?普通、五十音じゃないの?

「さ、さっぱり分からない……」

 とりあえず、窓際に置いておく。段ボールは、小さく畳んで玄関に立てかけた。その時に気づいたけど、既にあった段ボールと、今日来た段ボールの大きさ。それは同じサイズだった。

「なんで全部一緒なの?」

 やっぱり全く理解できない。だけど考えるよりも、片付けることを優先すべきと気づいた私。アイスを食べ終わるや否や、急いで片付けに戻るのだった。