「妙に揃えやすいと思ったら……。この段ボール、全部同じサイズだ」

 片手で簡単に持てるサイズ。そんな小さな段ボールが、六個ある。おばあちゃん、何を買ったんだろう?
 くまなく段ボールを見ていると、会社のロゴを見つけた。そのロゴは、全ての段ボールに印字されている。

「”wakuwakuホビー”って書いてある。ってことは、おもちゃの会社?」

 気になって、すぐにスマホで調べてみると、画面いっぱいに画像が出て来た。私の想像通り、おもちゃの会社らしい。赤ちゃんから小学生くらいまでの子が喜びそうなおもちゃの画像が、たくさん並んでいる。
 でも、引っかかる。
 おばあちゃんがおもちゃを買って、一体どうするんだろう?誰かにあげる予定があったのかな?近所の子へのプレゼントとか?

「最近おばあちゃんと疎遠だったから、全然わからないなぁ」

 別に家が離れすぎているわけじゃない。自転車で十五分あれば着く距離だ。それに、おばあちゃんはスマホを持っているから、自由に連絡のやり取りが出来た。
 でも日々の忙しさにかまけて、私は連絡を怠っていた。そうして疎遠になったまま、おばあちゃんとは一生会えなくなってしまった。
 冷たくなったおばあちゃんに会った時――私の中にあったのは、後悔だけだった。

「おばあちゃん、もっと話したかったな」

 今更な事を呟いて、ぼやけた視界を直すため目を擦る。気持ちを切替えるように「ふぅ」と、浅く息を吐いた。
 ふがいない私がおばあちゃんに償えること。それは――心を込めて、家の片づけをすることだ。

「おばあちゃんが住んでいた家を、出来る限りキレイにしてあげよう。それが私に出来る、唯一の償いだと思うから」

 生まれた後悔を、償いで返す。ありきたりな事だけど、そうでもしないと、やるせなかった。
 おばあちゃんとの思い出を振り返りながら、段ボールを並べ終える。綺麗になった玄関に、僅かに口元が緩んだ。
 そして私は今度こそ、玄関のドアを開けたまま、すぐ目の前のスーパーを目指す。そしてキンキンに冷えたアイスを、無事にゲットすることが出来たのだ。
 だけど、アイスを手にして帰った時。
 珍しい光景を、目の当たりにする。