「えー。カツ丼なんて女子が食べるものじゃないよ」


ゆうこは顔をしかめて、呆れた口調でりかに言った。


「じゃあ、ゆうこは何が食べたいの? お腹空いてるって言ってたじゃん」


「駅ビルに新しくできたパンケーキ屋さんとかどう? あそこいつも並んでるんだよ。
いかにも映えるパンケーキってやつ」


「パンケーキか・・・・・・。私パンケーキっていう気分ではないから、やっぱり今日はそのまま帰ろうかな。みんなで行ってきて」


「またそれ?本当、りかってノリが悪いよね。流行りとかも気にならないわけ?ま、どうせりかはその程度か」


ゆうこは嫌味っぽくりかに言うと、一緒にいたあかねと小馬鹿にしたように笑い、顔を見合わせる。

ゆうこが動くと甘い香水の香りがふんわりと、空気中に舞う。

バイトのお金を貯めて、デパートで買ったハイブランドの香水。

お給料は決して高くはないけれど、節約をして、この前新しくデパートで買ったお気に入りのやつ。

こういったみんなが憧れそうなものを手にいれ、自分のインスタグラムで投稿することが、ゆうこが最も優越感を感じる瞬間。

多くの人に羨まれるのを想像して、心が躍る。

毎回投稿する写真を撮る時にはテーブルの上に綺麗に並べて、納得がいくまで何枚も撮り直す。

もちろん時間をかけて丁寧に加工だってする。

まだフォロワー数は少ないけれど、たまに「いいね」がたくさん付くこともあって、
その度にこの上ない満足感を味わう。

インスタグラムはゆうこにとって生き甲斐そのものだし、自分の承認欲求を満たしてくれる大切なツール。

生きていくためのモチベーションにもなっている。

どんな時だって、食べたい物よりもインスタ映えを優先するし、欲しいものよりも流行を気にする。

インスタグラムを始めてから投稿を欠かしたことはないし、ストーリーだって一日に何回も更新する。

フォロワーが増えた時は自分が認められた気がしていたし、逆に減った時は「何がいけなかったんだろう」と授業にも集中できないくらいそのことばかりが気になってしまう。

フォロワー数が自分の存在価値を数値化してくれている、そんな気がした。

一喜一憂するような生活を送っていたけれど、ゆうこはそんな自分のことが嫌いではない。

だから、一切映えとかを気にしないで「かつ丼」なんていうりかの疎さが理解できないって思う。




「パンケーキどれにする? このいちごがたくさん乗ったやつとか可愛くない?」


メニュー表をパラパラとめくると「当店人気NO1」という赤い文字が目に飛び込んできた。

いかにも女子が好きそうな、可愛らしいパンケーキ。

ゆうこは「美味しそう」ということよりも「見た目の華やかさ」の方が気になった。

本当はチョコバナナパンケーキの方が食べたかったけれど、生クリームにいちごがトッピングされたこっちのパンケーキの方が、絶対に映えそうな気がする。


「いいね。めっちゃ可愛いじゃんそれ。私もいちごパンケーキにしようかな」


あかねはゆうこが指差す、いちごパンケーキを覗き込みながら言った。

ゆうこはあかねの開いていたメニューのページにも、チョコバナナパンケーキが載っていることにふと目がいったが、気が付かないことにした。

あかねも映えを気にしているじゃん、と心の中で仲間意識を持つ。


「すみません。いちごパンケーキを二つお願いします」


ゆうこは赤色のチェックのエプロンをつけた店員にオーダーをすると、迷うことなくカバンからスマホを取り出した。

少しでも時間があればインスタグラムをチェックしてしまう。

誰か新しい投稿をしていないか気になるし、ストーリーだって絶対に見逃したくない。

「今の時代の流行」に遅れてしまうのが、とてつもなく怖かったし、イケてない女子にはなりたくなかった。


「ねぇ、Rちゃんのストーリー見てみて」


ゆうこはスマホの画面を見たまま、同じくスマホを手に取っているあかねに話しかけた。

Rちゃんと言うのはメイク情報を発信しているインフルエンサーで、フォロワー数が100万人もいるゆうこの憧れの存在。

Rちゃんが「かわいい」だとか「おすすめ」だって発信しているコスメは多少無理をしてでも買っていた。

もちろん買ったコスメはすぐに自分のアカウントでも投稿する。

Rちゃん効果は絶大で、ハッシュタグをつけて投稿すると、毎回「いいね」の数が普段よりも増えた。


「見てこれ。このメイクめっちゃ可愛い。どうやったらこんなに可愛くなれるんだろうね。私もRちゃんみたいに生まれたかったな」


ゆうこはRちゃんのストーリーに釘付けになる。

キラキラしていて、可愛くて、イケてる女子。

まさに憧れそのもので、自分とは別世界で生きているような存在。

もしも同じ学校で、友達にRちゃんがいたら、もっと楽しい人生を歩んでいるだろうなって妄想するけれど、そんなの無理かってすぐに現実に引き戻される。

あかねもRちゃんをフォローしているので、ゆうことあかねが二人揃うと決まってRちゃんの
話題になる。

だいたいが「Rちゃんになりたい」っていう話だけど。

Rちゃんのインスタグラムに投稿されているコスメはよく二人で買いに行くし、メイク研究だって一緒にする。

単なる真似事かもしれないけれど、ゆうこはこうすることでRちゃんに少しでも近づける気がしていたし、いつか自分ももしかしたらインフルエンサーになれるのではないか、とかさえも思えてくる。


「お待たせいたしました。いちごパンケーキになります」


ゆうこ達の元に、さっきとは違う店員がいちごパンケーキを運んできた。

ふわふわのスフレパンケーキが三枚、金色で縁取りされた真っ白のお皿に乗っている。

トッピングの生クリームの上にはいちごが綺麗に並べられていて、ミントまでちゃんと添えられていた。

イメージ通りのパンケーキでよかった、とゆうこは内心ほっとする。

この前食べたクレープは想像してたものよりも、かなりショボくて悲しかったから。

だけど、こんなに可愛らしいパンケーキ、フォークをつけるのが勿体なく思える。


「あ、また始まった」


シュワシュワと音が聞こえてきそうなパンケーキにナイフを入れているあかねが、ゆうこの方をチラリと見て言った。


「だってこれ絶対インスタ映えするでしょ。写真撮らなきゃ。よかった、カツ丼なんて行かないで」


ゆうこはパンケーキの角度を何度も変えながら写真を撮り始めた。

自分の体も必死に傾けながら。

少し周りの視線を感じるけれど、もう慣れたことだから気にならない。

そして思う。


「りかと違って私はイケてる女子なんだから」と。


さっきカツ丼なんて言ったりかのことを、心の中でバカにする。

こうやって毎回インスタ投稿のための地道な作業をしている自分って偉いな、って我ながら感心してしまう。

店内にはおしゃれな洋楽が流れていて、意味は理解できないけれど、ニューヨークみたいな大都会にいる気分になれる。

周囲を見渡しても、自分たちと同年代くらいの女の子のグループか、若いカップルしかいない。

ふと、隣の席に目をやると、チョコバナナパンケーキが運ばれてきたのがちょっと気になったけれど、絶対にインスタ映えするのはいちごパンケーキだって自分に言い聞かせる。


「ゆうこ本当に好きだね、インスタ。いつかRちゃんみたいなインスタグラマーになったりして」


あかねは大きないちごを口に運びながら、ゆうこに言った。

「インスタグラマー」という言葉がゆうこの頭の中を駆け巡る。

決して誰かの目の前で言ったことはないけれど、本当はずっと憧れている存在。

なりたくないわけがなかった。

インスタグラマーになりたくて高いコスメも買うし、可愛らしい食べ物だって食べる。

スマホのフォルダの中にはインスタ投稿用の写真が何千枚と入っている。

こんなに小さな努力を繰り返しているのに、フォロワー数は思うようになかなか伸びない。

それどころか、あんなに地味な生活を送っているりかのアカウントと同じくらいのフォロワー数しかいない。

だから余計にりかの言動がイライラしてしまう。

自分とりかが同レベルな人間だ、と判断されている気がして。


「写真撮影終了」


ゆうこはようやくスマホをテーブルの上に置いて、水を一口飲んだ。

グラスの中の氷はすっかり溶け切っている。

持ち手が金色のナイフとフォークを手に取ると、そっとパンケーキを切り分けた。

少し触っただけで、潰れてしまいそうなパンケーキを、口の中へとゆっくり運ぶ。

出来立てだったパンケーキはすっかり冷めてしまっていたけれど、それでも十分いちごの甘酸っぱさとパンケーキの甘味が口いっぱいに広がる。


「今日のハッシュタグは何にしよう・・・・・?」


ゆうこは隣の席のグループが席を立つのを目で追いながら、頭の中にいつもの考えが浮かぶ。

こんなに可愛らしいパンケーキを食べてるんだから、絶対に「いいね」をたくさんもらいたい。

自分とりかは違う世界で生きているんだっていうことを、どうしても感じたかった。






「ねえ!!あかり!!見て、これ」


ゆうこは興奮を抑えきれない口調で、教室に入ってきたばかりのあかりの目の前に飛び込んだ。

あかりはまだ眠そうな顔をしていたけれど、ゆうこの勢いに驚いて、その場で足が止まっている。


「どうしたの、ゆうこ?何かあったの?」

「昨日のパンケーキ屋さんの写真をインスタに投稿したのね。そしたらRちゃんから”いいね”がもらえたの!すごくない?私のインスタを見てくれているんだよ」

「まじ!本当に?すごいじゃん、ゆうこ。Rちゃんがゆうこのインスタ見てるってことは、ゆうこもインスタグラマーの
仲間入りじゃん」

「やばくない?めっちゃテンション上がるんだけど。インスタやっておいてよかった。もっと投稿もストーリーも
頑張んなきゃ」


ゆうこは右手に持ったスマホをぎゅっと握り締める。

自分がみんなに認められた、Rちゃんと同じ世界に入ることができた、そんな気がして気分が舞い上がる。

もっとみんなに見てほしい。

そんな気持ちが、どんどんと膨らんでくる。

ゆうこが一瞬ドアの方に目をやると、ちょうどりかが教室の中に入ってきているのが見えた。

りかはいつものパーカーにジーンズ。

全身ブランドの洋服を着ているゆうこから見ると、考えられないほどダサい服装をしている。


「見て、りか。私、Rちゃんからインスタで”いいね”をもらったの。すごくない?ま、りかには絶対にありえないような
話だろうけど」


ゆうこはわざと嫌味っぽくりかに話しかけると、すぐに後ろを振り向いた。


「すごいじゃん、ゆうこ。ゆうこってインスタのためなら自分を犠牲にしているもんね」


りかはおっとりとした口調でゆうこに言った。


「自分を犠牲にしている、って何それ?」


ゆうこは無意識に喧嘩を売っているようなりかの発言にイラっとした。

こういった無神経なところも気に食わない。


「犠牲になんかしてないから、私。インスタは好きでしてるの。だから変な勘違いはしないでくれる?」


ゆうこは冷静な口調で言ったつもりだったけれど、自分でも驚くほどきつい言い方でりかに答えた。

学校に来て早々、なんて不快な気分なんだろう、と思わず深いため息をつく。

だけど、この「いいね」の存在をみんなに自慢したくて仕方がない。

私のアカウントをRちゃんが見てくれているんだよってことを言いふらしたくてたまらない。

思わず自分のストーリーで、Rちゃんが「いいね」をしてくれた、ということを編集して流す。

やっと憧れの「インフルエンサー」に少しだけ近ずけた気がして、思わず顔がニヤけてしまう。





午前の授業が終わり、ゆうことあかりは学食にやってきた。

学食といっても、カレーライスとかうどんくらいしかメニューがなくて、品揃えがかなり悪い。

きっと大きな大学だったら、カフェみたいなハンバーグやパスタとかもあるのかもしれないけれど、ここの大学は規模も小さいから仕方がないか、とゆうこははじめて学食に来た日にガッカリしたことを思い出す。

だけど、カレーには大きく切った野菜がゴロゴロと入っているし、うどんにはとろろ昆布がたっぷりとトッピングしてあるので、嫌いというわけでもない。

あかりがカレーライスを注文している横で、ゆうこは100円のメロンパンを1個だけ手に取った。

本当はゆうこも学食が食べたかったけれど、インスタ投稿のために節約できるところは節約したかった。

映える必要がないところには、お金をかけたくない。

だから結局1番安いメロンパンを買う、という選択肢しか残っていない。

学食も決して広くはないので、昼休みとなると、席を探すのが大変で、どこか空かないか目をこらす。

1番奥の窓際にある席が空いたのを見つけて、ハイエナがエサに向かうみたいに、一直線に突き進む。


「ラッキー。今日はすぐに座れたね」


あかりはカレーライスをこぼさないようにテーブルに置きながら言った。

ゆうこは手にしたメロンパンを見て、ちょっぴり恥ずかしくなる。

見た目だけはブランドの洋服を着ているのに、こんなに安っぽいもの100円のメロンパンがお昼ごはんだなんて。

あまり人には見られたくないなって毎回心の中で思う。


「あー、やっとインスタが開ける。私、インスタ依存かも」


ゆうこは笑いながら言ったけれど、たまに自分は病的かもしれない、と思う時もあった。

インスタが見れないと不安が募るし、ソワソワする。

見ていないうちに、ストーリーが消えてしまうかもしれない。

そんなの耐えられなかった。


「ゆうこ、知ってた?Rちゃん、うちらがこの前行ったパンケーキ屋さんに行ってるんだよ。もしかしたらゆうこの投稿見て行きたくなったのかもね。ほら、ストーリーに流れてるよ」


あかりが開くRちゃんのストーリーには確かにこの前行ったパンケーキ屋さんが流れている。


「まじ!てか、Rちゃんこの街に来たの?会いたかったなー。絶対に目立ってたと思う」


ゆうこは右手に持っていたメロンパンに思わず力が入る。

パンクズがパラパラとテーブルにこぼれ落ちた。


「すごいよね、こんな田舎に。もしかしたら街のどこかですれ違ってたりして。写真一緒に撮りたかったなー」


あかりが残念そうに口をすぼめて答えた。


「ねぇ、一緒にごはん食べてもいい?」


うどんのトレーを手にしたりかが、遠慮がちに盛り上がっているゆうことあかりに話しかけた。


「別にいいけど。どうせ他に食べる人いないんでしょ?」


ゆうこは本当は断りたかったけれど、仕方なく一緒に食べてあげることにした。

テーブルの上に置いていたカバンを少し、右側にずらす。


「ありがとう。なんかごめんね、邪魔して」


りかの声は遠慮がちで、申し訳なさそうにしているのが伝わってくる。

りかはこうやっていつも、ゆうこ達の輪の中に入ってくる。

いつも謝ってはいるけれど、毎回同じだから本当に懲りないやつだ、とゆうこは内心不満だった。

こっちはインスタで盛り上がっているのに。


「2人は明日の学園祭、どんな感じでくる?」


りかは席に座るなり、ゆうことあかりの顔を見て言った。

「どんな」というのは「どれくらいオシャレをしてくるのか?」という意味だろう、とすぐにゆうこ達は理解した。

学園祭の日は他校の生徒もたくさんくるので、新しい出会いの機会として、本来の意味以上盛り上がる。

この日をきっかけに合コンしたり、付き合い始める人も多いという噂もある。


「私はいつも通りかな。りかは何かすの?」


あかりがチラリとりかの方に目をやって言った。


「私ね、明日くらいは学校にオシャレしてこようかなって思ってるの。なんかいつも2人と比べたら地味だし・・・・・・。あ、でもそんなに気合い入れてくるわけじゃないから勘違いはしないでね」


りかは1人慌てた様子で声を張りあげる。


「明日のりか楽しみだわー。期待してるから」


ゆうこはすでに食べ終わったメロンパンの袋を折りたたみながら、単調な口調で相槌を打つ。

オシャレって言っても、どうせりかがする程度。

たいして可愛くなるはずもない。

そうだ、隣で写真でも撮ってインスタに投稿してやろうかな。

りかと一緒に並んだら、私の方が際立つはず。

自分ってなんて性格悪いんだろう、とゆうこは自分にツッコミを入れた。


「期待に添えるかはわからないけど、ちょっと頑張ってみようかな」


りかは独り言のように小さな声を出して、うどんを一口すすった。






「おはよう。なんだ、ゆうこ気合い入ってるじゃん。彼氏でも作る気?」


いつもよりも鮮やかなアイシャドウを塗っているあかりが、ゆうこの隣に並んだ。


「そんなことないよ。てか、あかりもいつもより頑張ってるじゃん。ま、学園祭だし少しは頑張らないと」

「それよりさ、りか見かけた?まだ見てないよね?」

「確かに。りかがオシャレしてくるって言うから写真でも一緒に撮ろうかなって思ってたのにな」

「いいね、それ。私も入れてよ!」


ゆうこはゆっくりと周囲を見渡した。

この学校にこんなにオシャレな人がいただろうか、と思うほどの目立つ服装で着ている人もいる。

見るからにブランド物の洋服だということがわかった。

ゆうこも同じブランドのマフラーを持っていたけれど、さすがに洋服までは高くて手が出なかったからいいなって内心羨ましく思う。

普段は駐車場になっている場所からは、たこ焼きとか、お好み焼きとかに塗るソースみたいな甘い香りがふんわりと漂っている。

いつもは表情を一切変えないで、淡々としているゼミの教授も一緒になって店番をしている姿を見て、なんとなくおかしく思う。

あかりと一緒に当てもなく、出店を見ながらゆっくりと歩いていたゆうこの足がふと止まる。


「ねぇ、あかり。見て。待って、どういうこと?なんでここにいるの?」


ゆうこは一瞬にして湧き上がってきた興奮を抑えることができない。


「うそ。あれ、Rちゃんじゃない?なんでうちの学園祭に来てるの?」


あかりも1人際立って目立っていたRちゃんの存在に気が付き、目を丸くして驚いている。


「あかり、行こう。Rちゃんだよ。写真撮ってもらおう」


ゆうこはあかりの手を握ると、脇目も触れず、Rちゃんの元へ走りだした。

こんなに大人になって走るのは何年ぶりだろう。

2人揃ってこんなに走っていたら、不思議がられるかもしれない。

だけど、私は絶対にRちゃんと一緒に写真を撮りたい。

ゆうこはピリピリ痛む横腹を抑えながら、人混みをかき分けた。


「あの・・・・・・。Rちゃんですよね?毎日インスタ見てます。大ファンなんです」


Rちゃんの目の前に着いた頃には、ゆうことあかりは息が上がっていて、落ち着いて話すことができない。


「本当ですか?嬉しいです。ありがとうございます」


その声を聞いて、ゆうことあかりは息が止まった。


「待って、りか・・・・・・?Rちゃんって・・・・・・りかだったの?」


ゆうこは驚きのあまり声が震えて、掠れた言葉しか出てこない。


「そうだよ。ついにバレちゃったね。Rちゃんはメイクした私。驚いた?私をフォローしてくれてありがとう。ゆうこって私のファンだったんだね」


きんと弾むような声がゆうこの耳の奥で鳴り響いた。