「そっかー。和仁はあたしのことそんな風に思ってたのかー」
「い、いいだろ、俺が勝手に思ってたことなんだから。……もし今ので永久子を傷つけてたら、すごく申し訳ないけど」
「ううん。嬉しい。あたしもそうなれたらいいなあって思うわ、それ」
「そ、そう?」
「うん。すごく……夢みたいなお話」
そう言った永久子の横顔は、とても淋しかった。
――それは自分が、異能を持っている身だからの言葉だろうか。
何か、諦めないといけないことでもあるかのようだ。
それが例えば、普通の幸せと言われるものならば、俺が護りたい、和仁はそう思ったが、和仁の立場は永久子の家に危難を与えるものだと気が付いて、言葉を吞み込んだ。
……いつの間にか、永久子と一緒にいる未来を思い描いてしまった。