「特にないわよ。あ、占いが得意で占い師をしてる人とか、そういうのはあるけど家そのもので職業的なことしてるわけじゃないわね」
「そうなんだ……」
占いとなると、星読みが出来たり予知夢を視たりもするのも異能かもしれない。
「もっと聞いてもいいのよ? 答えられることならなんでも答えちゃうから」
にこっと笑われて、和仁は腹の底にいやなものがたまっていく感じがした。
永久子はここまで自分に明かしてくれるのに、和仁は何も明かすことができない。
……祓魔師の長となるべく育てられた和仁は、咄嗟に家と永久子を天秤にはかけられなかった。――永久子のために家を捨ててもいいと、すぐには決断出来なかった。
「……永久子は?」
「うん?」
「永久子は……俺に聞きたいこととかないの?」
和仁の口をついたのは、逃げ言葉。もしも永久子の方から問われたら、自分は口に出来るかもしれない――と。
「そうねえ……」
永久子は少し上の方を見つめながら考える素振りを見せた。
「じゃあ、なんであたしに告白したの?」
「……え?」
「和仁、あたしのこと好きって言っても、付き合いたいとか思うほどだったのかなー? と思って。それとも、隣の席の子でちょうどよかったから?」
「そんなんじゃないよっ。永久子だから告白した。永久子のことちょうどいいとか思うわけない。……友達として好きだったのはもちろんだけど、永久子なら振られてもそう関係にひびが入ったりしないんじゃないかなって思って……って、これ失礼な言い方だな。ごめん。えーと……永久子となら、どういう形でもずっと仲良くいられる気がしたんだ」
言ってから、これで言い方あってるかな? 永久子、気分悪くしたりしてないかな? と和仁は不安になったが、隣を歩く永久子は目をぱちぱちとさせていていた。
それからふと目元を和ませ、ぷっとふきだした。