「……どういう?」
「あたしはもう言うことぶっちゃけてるし。だから、あとは和仁次第なんだよ? あたしたち」
(………)
和仁次第。それは、本当に付き合うか、お試し期間で終わりにするか。……和仁の意思ひとつということだろう。
「……少し、立ち入ったこと訊いてもいい?」
「いいわよ」
永久子は迷う様子もなく答えた。
「永久子が魔女って、そういう家系とかなの? それとも突発?」
「家系が半分、突発が半分ね。あたしの家、何代か前に日本に来た欧州の血が混じってるの。その人が今朝みたいな普通は出来ないことが出来る人で、そのあとたまーにあたしみたいなのが生まれた。だから血族的なものかって言われたらそうだけど、全員がああいうことできるわけじゃないわ」
「そうなんだ……。なんで魔女って名乗ってるの?」
「ほかにぴったりな呼び名がないから……かな?」
ということは、おおもとになったその人が、なんという種族かは永久子たちも知らないかもしれない。
「永久子がそういうこと出来るって、家族は知ってる?」
「知ってる。でも、だからと言って特別なことじゃないの、うちでは。普通に育てられたし。ただ、力のことは簡単に言っちゃダメとは言われたけど」
「……俺に言ってよかったの?」
「だって和仁、あたしのこと好きなんでしょ? 隠して付き合うとか、あたしそんな器用じゃないから無理」
「……そっか」
隠して付き合う。
それは和仁が永久子に対してやっていることだ。
和仁は祓魔師の長の孫として、世を忍ぶことに慣れ過ぎていた。
永久子の言葉を聞いて初めて、永久子に申し訳ないことをしていると気が付いた。