「あたし、魔女だよ?」
「……へ?」
――友達に背中を押されて告白した、少し気になっていた子。
その返事は意外過ぎると言うか、告白への返事ではなかった。
「え、ええと……だから付き合えないとか、そういうこと?」
天瀬和仁(あませ かずひと)は自分なりに必死に解答を探す。
高校一年生にして初めてした告白の返事がそんなことってあるだろうか。
彼女――夢宮永久子(ゆめみや とわこ)は、本当は断りたいけど和仁を傷つけないためにそんなことを言っているとかだろうか?
だったらまだ普通に断ってくれた方がこちらも困らないよ。これでも割と心臓ドクドクいってるからね?
仲のいい友達だと自分も思ってて、みんなに言われてなくちゃ告白とか踏み込んだことしてなかったよ。
だって、居心地のいい隣の席の友達、だったから。
「いや、付き合えないとかそういうことじゃなくて、私、魔女だけどそれを知っても付き合いたいって思うのかな? って」
「そうなの? じゃあ……どういう系の魔女なの? 白魔女とか黒魔女とかいなかったっけ?」
「……私が魔女だっていうとこには疑問はないの?」
「え? ……はっ! そ、そうだよな。普通はそこから確認しなくちゃだよなっ」
和仁はめちゃくちゃ焦った。
普通はそういうものを疑う人が多いんだった――と内心汗が噴き出した。
永久子は和仁を疑うような眼差しで見てくる。
「てか、高一で自分を魔女とかいうなんて中二過ぎるって思わない?」
「そ、そうかな? 別に中二でもいいと思うけど」
「天瀬(あませ)、変わってるわねー。あたしもこの話して白い目で見られることしかなかったから、最近じゃ誰にも言わなかったのよ?」
「あー、そんな扱いはされそうだよな。でも夢宮(ゆめみや)、俺には言っていいんだ?」
「天瀬は特別だから」
「えっ……」
「特別、仲のいい男友達だったから」
その言葉で、和仁は、あ、フラれるんだ、俺。と悟った。
永久子は、「だから」と続けた。
「あたしの正体を知って、離れちゃったら淋しいなって思ってた。でも、普通の友達にそこまで思うのかなって疑問だったの」