ユナがさっきからこちらとミミス国王を交互に見ては、何かを口にしようとしている。
声をかけるべきか悩んでいるとミミス国王も気付いたようで声をかける。
「ユナどうかしたのか? 」
と。 父に声をかけられたことで決心がついたのか顔を赤らめながらこう口にした。
「お父さん!ユ、ユリア君と一緒にゼウリアスの魔法学院に入学したいです! 」
ユナはここの王女なんだろ?王女が他の国王が統制してる学院に行くとなれば問題が起こる。
今思いつくだけでも、ここリーアウドに王女が不在となるとここを邪魔に思ってる奴らにとって都合が良くなるし、なりより領民達の混乱を招くだろう。
そして次の懸念はユナの暗殺。 何故、路地裏の男達は《認識阻害魔法》が付与されているユナを「こんな簡易の変装」と言った? あの時ユナに付与されていた魔法はかなりの上級魔法のはず。
寝かされていた部屋からここに来るまでに魔術師の集団とすれ違うこともあった。 その時にかなり膨大な魔力の持ち主が1人居た。 多方その人が《認識阻害魔法》をかけているのだろう。
通常、魔力は他人が見れるものでは無い。 僕が他人の魔力を確認できるのは、毎日血反吐を吐く練習をしてきたおかげでもある。 ……こんな所で父上モートンの修行が役に立つとは思わなかったが。
そして《認識阻害魔法》。 この魔法は言わば自分より魔力量やステータスが低ければ惑わせれるが、相手の方が高いと見破られてしまう。
ユナには失礼だが多方魔力量が少ないか、ステータスが低いかのどちらか……いや、どちらもかもしれない。
だから《認識阻害魔法》を使える魔術師で尚且つ、魔力量が高い先程の彼女にかけてもらったのだろう。 先ずは彼女と話をしてみたい。
そう思い国王に相談してみると、はてな?となっていたがすぐ了承してくれた。
♢
「で、私に何の用だ。国王がお前から話があると聞いてきたんだけどなによ? 」
目の前にいる空すらも霞むような美しい青色の髪に瞳、そしてかなりの高身長のお姉さんがツンとした態度でそう言う。
因みにバハムートさんは部屋で留守番ーーもとい昼寝をしている。
ユナは国王と話がしたいとあの場に残っている。
「えっと……お姉さんがユナに《認識阻害魔法》をかけてるんですよね? 」
妙にツンツンされてるのは悲しいが初対面で用があるから話がしたいと言って笑顔になる人なんか居ないか。
ましてや【ハズレスキル所持者】なんかと好んで話す人は居ない。
だから、余計な話は省いて単刀直入に主題を切り出したのだがーー
「!? なんでそれが分かったの!?!? 」
何故か凄く驚かれた。 あまり聞かない方が良かったのかな?
「お姉さんの魔力量が1番多かったからそうかなって思いまして……違ってたらすいません」
「そうだけど……貴方何者よ!?人の魔力量が分かるなんて……」
やっぱり人の魔力量が分かるのは異常らしい。この点も父上モートンに感謝しておこう。
それもハズレスキル所持者になったことで全て無価値となり僕の存在意義は無いみたいだけど。
「ただのハズレスキル所持者です」
「貴方に何があったのか分からないけど……」
と、前置きを入れると 、
「私とその……友達になりなさい!!きょ、拒否権は無いんだから!! 」
そう言い残すと呆然としてる僕を残して、早足で帰って行ったのであった。
ーーー嫁になりなさいって言われたらどうしようと思ったけど違ってよかった……。
いや、あれはバハムートさんが異常なだけなのかもしれない。