あの後、部屋に入ってきた人達に謁見の間にこいと言われそこに向かったのだが……。

目の前のやたらデカい座に男は座っており、左右には彼の部下だろうか横一列に甲冑を装備した騎士達が整列していた。

目の前の男は目を逸らすのは許さまいとこちらを睨んでいる。

…………ーーー。

……ーー。

ー。


「単刀直入に言おう。娘を助けた事には感謝する。 しかし、娘を襲い更には止めに来た弟を殴り飛ばすとはどういうつもりだ?……いや、何を企んでいる? 」


コホンと前置きを入れると鋭く目を見開きこちらを睨んでくる。

甲冑の騎士達が一斉に武器を一振りこちらに剣先を突きつけてくる。

……嘘をつけば首を跳ねるといったところか。

嘘をつくつもりはまず無いが。


「先ず貴方の勘違いを訂正させてください。ユナは僕を心配して抱きついてきてくれただけです。……それ以上の事は一切してません。そして弟についてですがこちらも勘違いです。あちらが急に殴りかかってきた為、受け止めただけです」


……うん、嘘は言っていない。


「ユナ、その男が言った事に嘘は無いか? 」

「無いってさっきから言ってるじゃない!!お父さんの勘違いだって!!! わたしのユリア君に謝って!! 」


やっぱこの人ユナのお父さんだったのか、なんかそんな気がしたよ。

大人しめのユナがこんなに怒ってるの珍しいな。

……てか今ユナなんて言った?

「え?お父さんの勘違いって言ったよ」

「いやその後」

「っ……!な、なんでもないから!! 」


気のせいだったのかな、まぁいいや。


「コホン。なら良い」


咳払い、 そして少し間を空けると、


「娘を助けてくれた恩人に対して無礼な行為を働いた事を謝る。本当にすまなかった……! 」


頭を下げてくるユナのお父さん。


「な!?国王様!こんな平民如きに頭を下げるなどあってはなりません!! 」

「そうであります!今すぐに撤回を!! 」


口々に騒ぐ騎士達。 やはり国の王が平民に頭を下げるのはプライドにも関わるのだろう。 ……国王?この謁見の間に来た時からそうだろうとは思っていたが本当に国王様だったとは。

まてよ?国王様はユナの事を「娘」と言ったよな? ということはユナはここリーアウドの王女になる訳だが。


「静かにせぬか、これはワシ自身で決めたことだ。 っと……申し遅れたな。ワシはここ、リーアウドの王をやっておるミミス=リーアウドだ。そして娘のユナは第三王女だ」



僕の予想は的中し、これから何をされるのかと心の中でため息をついた。