目が覚めると全く見覚えのない豪華なシャンデリアがぶら下がっている天井がある。

辺りを見渡しても人の気配はせず物音も1つもなってない。

ここはどこだ? ええっとこういう時はまず自分の名前を……。

名前はユリアで15歳、師匠とメイドのミユの2人でゼウリアス王国の隣にあるリーアウド国に来ている。……うん、完璧だ。

じゃあなんでこんな所に? 1人で思い悩んでいるとーー


「ユリア君!やっと目覚ましてくれた……」


銀髪の女の子が心配そうな顔をしながらベットに飛び込んできて抱きついてくる。

その瞬間先程の事が頭の中を埋めつくし徐々に全てを思い出していく。

そうだ……この銀髪の女の子はユナで露店街の路地裏で男達に襲われていたところを助けて、1人仕留め損なっていて後ろから殺されかけた瞬間、謎の声が聴こえ、何故か相手が吹き飛びレベルアップを告げる音が頭の中に無限に響きわたり気絶した。

……なるほど意味がわからん。

ユナの頭を撫でながらそう考える。


「なぁユナ、僕が後ろから殺されそうになった時に助けてくれたのってユナだよな? 」


頭をフル回転させて考えた結果ユナが魔法かなんかで助けてくれた。

これしかないと思ったのだがーー


「え?わたしじゃない……っていうかユリア君の《身体魔法付与》じゃないの?刺される瞬間ユリア君の背中に見た事もないような凄い魔法陣が現れたし……」


《身体魔法付与》とは名前通り自分や仲間の身体に魔法を付与する魔法である。強化する事をバフ、弱体化させる事をデバフと言う。

魔術師特化の中でも上位ーーー宮廷魔術師や王国直衛の魔術師、勇者パーティーなどしか扱うことの出来ない最上級とも言える魔法。

それはユリアもユナも分かっている。

だから魔法陣が現れるましてや自身のダメージを反転させるなんてユリアには出来るはずがない……いや出来てはいけない。


「ユリア君のスキルは《身体魔法付与》じゃないの? 」

「ああ、僕のスキルは《クリエイティブモード》だ」

「くりえいてぃぶもーど?そんなスキルあるの?? 」


やっぱり誰も知らないか……。


「ステータスボード見せるね」


ステータスボードを見るのは久しぶりだ。ましてや人に見せるなんて師匠以来だな……。


「ステータスオープン」


そう唱えると目の前に半透明のウィンドウが現れる。


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【 名前 】:ユリア

【 ジョブ 】:無し

【 スキル 】:《モード切り替え クリエイティブモード/サバイバルモード》 ※現在はクリエイティブモードとなっています。


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〈※ここから先はスキル保持者、あるいは仲間、家族のみ閲覧可能※〉

※自分より上位の《鑑定》スキルには見破られる可能性あり 使用可能なスキル 《スキルの書》 転生者専用のスキルを除く全てのスキルを使用可能 又、習得も可能。 《異世界転生者専用スキル》 異世界転移/召喚 者に与えられるチートスキルの使用可能 又、習得も可能。

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【 レベル 】:0

【 HP 】:0

【 MP 】:0

【 魔力 】:0

【 攻撃力 】:0

【 防御力 】:0

【 運 】:0


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「「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??? 」」


ステータスが全部0になってる!?レベルもHPも何もかも!?!?

HP0って死んでるやん……。 けど生きてる……どゆことだよ本当に。

少なくとも前にステータスボードを見た時はレベル50はあったはずだ。

この世界でレベル50は1人でギルド規定のBランク級モンスターを倒せるレベルーーかなり優遇される。

だが家ではレベル50とか雑魚中の雑魚と言われていてそうなんだと思っていた。

言わば努力の結晶とも言えるレベルが0になった僕は言葉を失う。

ん?モード切り替え?ってこれも気になるけど《スキルの書》が使用可能スキル?そんな訳……。

そう思いながらもスキルを発動させてみる。


「《スキルの書》」


するとーーー


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【 現代魔法スキル 】 《火魔法》、《水魔法》、《風魔法》、《土魔法》、《闇魔法》、《無属性魔法》、《生活魔法》、《治癒魔法》、《召喚魔法》 初級魔法から極大魔法まで全て使用可能 又、習得も可能 【 基本スキル 】 《魔力操作》、《剣術》……ect

【 エクストラスキル 】 《剣聖》、《魔法剣士》、《剣神》、《鬼神》、《獄炎の魔術師》、《終焉の魔術師》《極寒の魔術師》、《常闇の魔術師》……ect

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どうやらこの世に存在する全ての魔法が使えるみたい。

何か試しに使ってみようそう思っているとーー


「ユナ入るぞ」


突如ドアが開きユナと同じ銀髪でいけ好かないタイプの男が入ってくる。

ユナとは抱きついたままステータスボードを見ていたため、必然的にそう見えてもおかしくないためーーー


「クソガキぶっころしてやる!!!!!!!!」


銀髪キザ男の拳がノータイムで目の前に。


「やっば!? 」


誤解を解かないと僕の顔が飛ぶ!!

そのためにもまずはこの拳を受け止めるーーー!

ドコォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンンンン!!!!!!!!!!


「ぐあぁぁぁっ……」


ド派手な音を立てながら吹き飛び、壁にめり込むキザ男。

え?拳受け止めただけなんだけど……。

なんで壁に大穴が空いているんだ? 何かやばいことをやってしまった?

未だに壁にめり込んでいるキザ男を尻目にユナをチラッと見てみると。


「凄い……お父様以外誰も受け止めれたことの無いアルス兄さんの《無呼吸皇拳》を受け止めて、更には反撃するなんて……やっぱわたしの目に曇りはなかったんだ……! 」


キラキラと目を光らせながらボソボソと呟いていて声がかけにくい。

だからだろうか自然と声が出てしまった。


「僕、やらかした?……」