「はーい、これでやっと(・・・)全員の試験が完了したね! 皆お疲れ様、今日のところは解散だから各自帰宅して2日後の合格発表を楽しみに待っていてね〜」

労いの言葉の後、解散となった。

いやぁ、今日は疲れたな。

「じゃあ皆帰ろうか」

2日間待たないといけないから、宿屋を取らないといけない。
合格したら学生寮が無償で使えるらしく、ほぼ全ての生徒が学生寮で生活していると聞いた。

寮舎が何練もあるらしい。
そんなに沢山あるなら受験生用のも作って欲しいと思うが難しいのだろうか。

各地から受験生が集まってきているのだから、周辺の宿は直ぐ埋まってしまうだろう。

だから急ごうとしたのだが、後ろから声をかけられ立ち止まる。

「ねえ、あんたらマジで何もんなの? このあーしの魔法の凄さをかき消してしまうほどのを打つなんて迷惑なんだけど! 」

な、なんだこの子は……。

薄茶色の髪をさらりと背中辺りまで伸ばし、頭のてっぺんからちょっとだけピンク色に染まっている。
で、ミニスカ。まじであと数センチ短ければパンツ見えてるんじゃないかってくらいに短い。

「えっと、あなた誰ですか? 」

「はあぁ!? 謎にアンタとその和風な着物の女のすぐ後にやらされたちょー不運な受験生よ! あーしがどれだけ完璧な魔法を披露したとしてもあんたらの後だったら少し霞んで見えちゃうのよ! 」

「必死に怒ってるとこ悪いけど宿取りに行きたいからまた今度話そう」

「は、ちょ、ちょっと待ちなさいよおおおおお!! てか、どんだけ足速いのよおおおお」

叫び声が聞こえたが、お構い無しに走り校門を抜けて、繁華街へと向かった。





「ダーリン、あの女を無視してよかったのか? 共に学ぶことになるかもしれぬのに」

「いくら急がないと行けなかったとはいえ無視するのは流石にだめだよ? 女の子を無視する男は嫌われるって教えたはずだよ」

「お申し付け頂ければミユが1人で宿を確保しにいきましたのに。あの場でこの判断が出来なかったことをお許しください」

「うーん、私はあの判断で正しかったと思うけどな。ユリア君のことだし私達皆がゆっくり休めるようにと、急いでくれたんだろうし」

な、何故それがバレている。
思わず驚きのあまり声が出そうになったがなんとか押さえ込む。

「ふふん、女の子の鋭さをなめちゃだめだよ」

「う、うん? 」

なんかよく分からないがドヤ顔の第三王女のユナ。

そんなこんなで雑談をしていると夜も更けてきた。
明日は1日休みだけど、せっかくの王国の中枢部の王都なんだし楽しみたい。

寮生活が始まったらもしかしたら街には出れないかもしれないからね。

試験で少なからず疲れも溜まっている。
ユナやミユは慣れない魔法を行使して体力を消耗している。

「おやすみ」

思ってたよりも身体は疲れていたのか、横になって数分で寝てしまった。




【SS(ショートストーリー)皆が寝すしまった後の前世経験ありの最強達の女子会】

「妾たちの体調をあんじてくれてたが、1番疲れたのはダーリン、お主じゃろう。慣れない魔法……しかも喪失魔法を人数指定で行使し、更には錬金術師でもないのに錬成を使ってオリハルコンを的に変えたり。身体への負担がハンパじゃないはずじゃ」

ユリアの頭を愛おしそうに撫でながら呟く。

「だね。本人はスキルが凄いだけって思い込んじゃってるけど、それに耐えうる体力や魔力も凄いよね」

「全くその通りなのじゃ」

しみじみと頷き合って、

「ダーリンばかりに無理をさせないために、妾たちも頑張らんとな」

「だね。他国の第三王女を連れている訳だから、外では当然学園でも注目を浴びるのは避けられない。なんならリーアウドを快く思っていないこっちの貴族の息子などが難癖を付けてきたり、悪評を広めるためにはめてこようとするかもしれない。そんなことは絶対に起こさせないようにしないとね。わたし達前世最強組で成長を見守って、時には魔の手から守らないとね」

「妾たちが動くまでもなくダーリンが全てを解決してしまいそうな気もするが分かったのじゃ」

「確かにそうかもね。ふふ、普通に想像できちゃう。なんだかまた波乱な人生になりそうだけど楽しもうかな。皆も寝てるし、これ以上喋ってると起こしちゃうかもしれないからわたしもそろそろ寝ようかな。おやすみパプル」

「おやすみなのじゃ、サツキ」

こうして最強のバハムートと前世最強の賢者のひっそり女子会は一旦終了したのだった。