そして今にもどる。

これに関しては100僕が悪く、一切の言い逃れは出来ない。

怒りの頂点に達してるミユと師匠に今からにでもみっちり怒られるだろう。


「ユリア様はお優しい性格ですので、また人助けでもされていたんだと思います。しかし……《念話》もしてくれないのはどうかと思いますよ?私達がどれだけ心配したと思われてるのでしょうか?? 」


ちょ、ミユさん?……背後から魔王を彷彿ほうふつとさせるドス黒いオーラが恐ろしい勢いで放たれ、後ずさる。


「ねぇ?なんでしてくれなかったの??ユリア様に限って私達の事を忘れる訳ないし……はは、もうミユは要らない子なのかな……」


ミユさん!?!? ミユってヤンデレ気質あったの?!

それはそれでありだな。ってそんなことは後。


「ミユは要らない子なんかじゃないよ、僕の……その、大事なメイドさんなんだし」


今までめんと向かって言うことが無くて、少し照れくさい。


「ふぇ……」


ミユは手で口元を隠し、そう言うとそっぽを向いてしまった。 気まづい空気になり、沈黙が続く。

何か声をかけないと。


「ミユ! 」

「ユ、ユリアしゃま?……」


ミユを抱き寄せ、その身体を抱きしめる。

グリアント家のメイド服のまま着替えておらず、胸元がばっさり開いてる為か、僕の腹の少し上辺りが大変な事になっている。

マシュマロ並の柔らかい物がぐにぐにと押しつぶされては形を変える。 ……理性を保つのに精一杯だ。

本当にどうして抱きついてしまったんだろう。

急に抱きついてきてミユはどう思ってるだろうか。

「あっ……」


視線を感じちらっと周りを見ると、気まづそうにしているユナと目が合う。

その隣では国王が固まっており、廊下に居た騎士達は色々と察してくれたのか背中を向けている。

騎士さん方、ありがとう…!

あれ? そういえば師匠は何処に行ったんだ?

ぐるりと辺りを見渡すが姿は見当たらない。

師匠は《透明魔法》や《気配遮断》などの【無属性魔法】もマスターしており、戦闘ではほぼ使わず僕へのイタズラによく使う。


「まさか!ーーー」


予感は的中した。


「で、し、く、ん、?私も心配したんだけど?ミユばっかに抱きついて私には抱きついてくれないの?私もヤンデレになっちゃうかもよ? 」

背後に師匠が現れ、これまたミユと同じく抱きついてくる。 ……心做しかミユよりは小さい。


「弟子君今失礼なこと考えたでしょ……ミユよりは小さいけどこれても大きい方なんだよ? 」


女性は男の考えはすぐ分かると言うが、師匠の場合は《思考看破》でも使ったのだろう。

確かに背中から柔らかい物が押し付けられている。 前も後ろも幸せな状態の中、


「いつまで話しておる……待ちくたびれたのじゃ……って妾も混ぜろ! 」


バハムートさんまで抱きついてきた!?


「ふむ、ユリアはモテモテだな」

『くぅ……うらやましい!! 』

「俺達もいつかは……!! 」


騎士達はいつのまにこちらを向いていたのか悲痛な叫びをあげ、ユナはぼそっと何かを呟く。

「混ざりたい……」

「ユナ今何か言った? 」

「い、いえ!?なんでもありませんよ!! 」


妙に慌ててるけどどうしたんだろう?


「あのユリア様……そろそろ離れてくださると……」


上目遣いでそう言ってくる。ミユも恥ずかしかったのか顔が赤い。


「あ、ごめん!? 」


気持ちよすぎてずっと抱きついてしまった。

けど、勇気を出して良かったと心から思うよ。


「明日馬車を呼ぶので今日はゆっくり休んで頂こう」


国王の声でその場は解散となり、それぞれ部屋に戻った。

気を使わせてしまって申し訳ない……。