「俺の鍛え方云々は置いておいて、現状を整理させてもらってもいいですか? 」

Sランクパーティ〈ボトーダルンタクス〉の要である俺は、馬鹿で何も理解をしていないリーダーである無能のムノンダに追放を宣言された。

俺からすればこんなパーティ、抜けれるならありがたいが、俺が居なければこのパーティは没落していくのが目に見えていたので最後の温情で考え直す機会を与えようとしたのだが、無能だからか追放を選択してしまう。

そして反論した事に腹を立てたのか、はたまた今までの恨みなのか分からないが、崖から突き落とされてしまった。

その落とされた崖は最下層まで続いており、ラスボスを名乗る美女が足にくっついていた。

なるほど、この俺でも理解が及ばない。

「貴女はラスボスなんですよね? 寝てる間に何故殺さなかったのですか? 俺は言わばテリトリーに侵入した敵。しかも身体が無事なのだから強者だというのは理解しているはず。驚異になる前に殺すべきでは」

「普通にこのダンジョンを攻略して最下層に来たのじゃったら戦っていたかもしれないのじゃ。じゃがな……」

「不運の事故で落ちてきた相手とは闘いたくないと? 」

「寂しかったのじゃ。最下層に生きて到着した者など誰一人居らん。ずっとひとりぼっちだった妾の前に初めて人が現れた。殺したくないのじゃ……」

「要するに友達が欲しいって事ですか? 」

「そうじゃの」

「なら友達になりましょう」

「いいのか……? 妾は人間じゃないのじゃぞ。最強災厄のラスボスと友達になっただなんて他の人間に知られたらお主の立場も、関係も壊れてしまうのじゃぞ? 」

「ふふっ、そこは心配しないでください。俺は最強なんで。最強同士仲良くしましょう」

「ありがとう……ありがとうなのじゃー…!! 」


オリンに抱きつく。

数秒たって離れる。
ハッとした様子。

「名前を聞いておらんかったな、妾はチルン・ハデスドール。チルンと呼んで欲しいのじゃ! 」

「オリンです、家名は無いのでそのままオリンと呼んでいただければ」

「うむ!オリンよ! ときに、何故そんな固まったような口調なのじゃ? 友達なのじゃからオリンの普段の話し方にせい! 」

「普段がこんな感じだと言ったら? 」

「それならしょうがないのじゃ! 」

「嘘だ、いつもは敬語なんか使わん。目上の人や年配者には敬語だがな。」

「おお〜! バッチリじゃ! ……はて? 妾は目上に見えたのじゃ? 」

「いやラスボスにタメ口は流石にと思っただけだ」

「他人行儀な奴じゃの、じゃが妾の友達になったからにはその口調で話してもらうぞ! これからよろしくなのじゃ〜!! 」

「おう、よろしくなチルン」

手を取り合い互いに笑顔を見せる。

傲慢な世界最強と最強災厄のラスボスが手を組んだ瞬間であった。


ラスボスの主としてこの地に生まれ落ちてから一度も外の景色を見た事がないチルンのために外に連れ出すことを決意する。

ラスボスが100体居る部屋に案内される。

全員を倒さないといけない。

この部屋は特殊で、一体倒すと次のラスボスが部屋に現れるといった感じ。

二体同時や三体同時、等々複数体一気に出現することもある。

5話~7話くらいまではラスボス戦。

ラスボス戦はオリンのチートスキル【確定吸収】で魔力やHPを吸収し、ほぼ全員をワンパンする。

99体目、100体目は人型の魔族。

オリンが手心を加えて、仲間にする。

8話〜

外の世界をめざして最下層からダンジョンを脱出。