「えーと、お前……いや、貴方は? 」

「妾はこのダンジョンの主ーーーお主ら人間の言葉で言うと最下層のラスボスの一人じゃな! 」

危なかったな、いつもの癖でお前呼びするところだった。
SSSランクダンジョンのラスボス様にそんな口を叩いたらどうなるかなんて誰でも分かる。

待てよ? 何故ラスボスがこんな所にいるんだ?

確か俺はムノンダから崖に突き落とされたはずだ。

この状況、普通の人間なら慌てるなり、悟るなり、助かる方法を模索したりするだろう。

だが俺は突き飛ばされても安心していた。

何故かって俺は世界最強だからだ。
あの無能なムノンダ達を一人でカバーし、全員をSランク冒険者になり上がらせ、パーティをもSランクへと導いた。

その恩を仇で返されたわけだが別にどうでもいい。

俺がいなければあいつらは有象無象の低ランク冒険者となんら変わらない。あの調子ののりようだと今にボロを出して高ランクの魔物達にフルボッコにされるだろう。

いや、中ランクにすら勝つのは厳しいかもしれないな。

ここまで回想。



「それはお主がたまたま落ちた崖が最下層へと続く場所だったからじゃの。もっとも今までで飛び込んだ者は居るが全員落下の衝撃に耐えられず身体が弾け飛んでいるがの。どんな超人であれどもこの高さは死んでしまう。じゃから身体も部位も欠損しておらず横たわっていたお主を不思議に思い、近づいたら呑気にくーかーくーかー寝息をたてていた……」

「は、はい。やわな鍛え方はしてないのでちょっとやそっとの高さの崖くらいでは死にませんよ。……って最下層!? 」

「じゃからそう言っておるじゃろ!! 」

叫び声がこだました。