何やら騒がしく、目を覚ます。

眠りに落ちている間、何か女性の声が聞こえた気がする。

しかし何を言っていたかは覚えていない。

起き上がり、当たりを見渡す。

暗くてよく見えない。

歩こうとして、右足が動かないことに気づく。

抱きつかれているような、そんな感覚。

もう一度しゃがみ、足を見るとうっすらと長い髪が見えた。

やはり誰かが足に抱きついている。

「おーい、起きてるか? 」

「んんぅ……むにゃむにゃ。んぁ…やっと起きたのじゃ」

「それはこっちのセリフなんだがーーーとりあえず離れてくれるか? 」

「すまぬの、お主が起きるのを待ってたのじゃが、妾も寝てしまったのじゃ」

そう言い、立ち上がった姿を見て思わず見蕩れてしまった。

暗い視界からでもはっきりと分かるほど綺麗な顔立ち、背中まですらりと伸びている黒い髪。
白い服で胸元には張り紙がされており、むーな、と書かれている。

正真正銘の美女がそこに居たからだ。