「ねぇねぇ、城之内さんってどこに住んでたの?」
「なんで白井と知り合いなの?」
「城之内さん肌めっちゃ綺麗、どうやったらそんな綺麗になるの?」
ホームルームが終わった途端、質問攻めにされるその様子を外野にまわって傍観する。
女子たちの好奇は、彼女の美しさ故だろう。
美人と友達になりたい。美人はどんな性格だろう。そんな下心や好奇心を持って接していることは外野にいるとよく分かる。
「前住んでた所は田舎だよ。ここは結構都会なんだね」
「昨日、白井くんと友達になったの。すごく良い人だったんだよ」
「綺麗、かな?じゃあ、毎日付けてる化粧水のお陰かな。効果あって良かった」
昨日自分はその美少女と友達になった。そう大声で自慢したい衝動に駆られた。
群がる女子にそんなことを言えば、きっと白い目で「キモ」と吐き捨てられて明日からは腫れ物のように扱われるだろう。
自分が明るいムードメーカのような存在ならば笑って済まされるのだろう。立ち位置はとても大事だ。
「ちょっと、幸雄」
「ん?」
「さっき言ってた美少女って、もしかして城之内さんのこと?」
「あぁ。超絶美少女だろ」
「……そうだね」
彼女の周りにいるのは女子ばかり。男子は自分と同様に遠巻きで眺めているだけだ。
「お前行けよ」「俺!?」「昼休みに話しかけようぜ」「女子離れてくんねえかな」等、コソコソ話している内容が聞こえてくる。皆話しかけたいのだ。しかしあの中に入ったなら、女子に疎まれ蹴散らされるだろう。
皆想像する未来は同じだな、とクラスメイトの男子の気持ちを痛い程理解していると、聡里がちょいちょいと袖を引っ張ってきた。
「好きなの?城之内さんのこと」
「うえっ!?」
「どうなの?」
急な恋愛話に驚き、眉を寄せる。
自分の恋愛に聡里は興味があるのか。
「まあ、可愛いとは思う」
「ふうん.....面食い」
「うるせえ、男は皆可愛い子が好きなんだよ」
「ふんっ、あんたみたいなのが城之内さんに、相手にされるわけないけどね」
その言葉は胸に刺さった。
付き合いたいと本気で思っているわけではないが、直接言われると傷つく。
「人気だね、城之内さん」
「可愛いからな」
「あんたそれしか言ってないじゃん」
「だって可愛いだろ」
「まあ、うん」
あの天使を可愛くないと思う人間はいない。
「聡里が素直に褒めるなんてな」
「うるさいな。でも、可愛すぎて気味が悪いかも」
「はぁ?」
「だってあんな可愛い子みたことないし」
「気持ちは分からんでもない。俺もあんな美少女は初めて見た」
オタク友達が城之内さんを見たらきっと気絶し、あの美貌の前にひれ伏すだろう。
自分も彼女に「私の前にひれ伏しなさい」と言われたら喜んでそうする。人間、美しいものには弱いのだ。
「あ、次確か移動教室じゃなかったか?」
そう言うと周りにいた女子が「わたしたちが案内するから白井はいいよ」と、睨んできた。
自分だって城之内さんと話したい。それはきっとクラスの男子皆が思っていることだろう。
一度朱里と目が合った幸雄だが、質問に答えるのに忙しいようで困ったように逸らされた。
それでも一つの質問にきちんと答えている姿は好感度が高い。嫌な顔せず喧しい女子の質問に、健気に答えている。
初めての土地で心細く、早くクラスに溶け込もうとしている。きっと前の学校ではさぞかし人気者だったに違いない。
可愛いし、優しいし、真摯に女子と接している姿は好感が持てる。
教科書を持って聡里と移動するため教室を出ようとすると、朱里が寂しそうな顔で幸雄を見ていた。
それでも幸雄はあの女子たちの中へ入っていくことができなかった。
「幸雄さ」
「なんだ?」
いつも移動教室はクラスの友達か一人でしているのだが、今日は聡里と一緒だ。聡里の友達も朱里に興味があるのか、朱里を囲む輪の中にいた。
幸雄の友達も教室の後ろで動かずじっと女子たちを眺めていた。お互い一人になったため一緒に理科室まで歩く。
「好みのタイプってどんなの?」
「は、はぁ?好み?」
「あ、あんたに恋人ができたとかそういう話聞いたことないし。理想が高いのかと思っただけよ」
急な質問に素っ頓狂な声をあげる。
理想なんて挙げればキリがない。
美人で頭が良くて優しくて言うこと何でも聞いてくれて。
だが所詮は理想。
「好きになった子がタイプ、かな」
「なにそれ」
「好みって言っても、どんな子を好きになるかなんて分かんないだろ」
「恰好つけてもかっこよくないっつうの」
聡里は幸雄を褒めたことがない。
朱里ならば笑顔で「そうだよね」とでも言うのだろう。
そっぽを向きながら歩く聡里を横目で見ながら無意識のうちに朱里のことを考えていた。
「なんで白井と知り合いなの?」
「城之内さん肌めっちゃ綺麗、どうやったらそんな綺麗になるの?」
ホームルームが終わった途端、質問攻めにされるその様子を外野にまわって傍観する。
女子たちの好奇は、彼女の美しさ故だろう。
美人と友達になりたい。美人はどんな性格だろう。そんな下心や好奇心を持って接していることは外野にいるとよく分かる。
「前住んでた所は田舎だよ。ここは結構都会なんだね」
「昨日、白井くんと友達になったの。すごく良い人だったんだよ」
「綺麗、かな?じゃあ、毎日付けてる化粧水のお陰かな。効果あって良かった」
昨日自分はその美少女と友達になった。そう大声で自慢したい衝動に駆られた。
群がる女子にそんなことを言えば、きっと白い目で「キモ」と吐き捨てられて明日からは腫れ物のように扱われるだろう。
自分が明るいムードメーカのような存在ならば笑って済まされるのだろう。立ち位置はとても大事だ。
「ちょっと、幸雄」
「ん?」
「さっき言ってた美少女って、もしかして城之内さんのこと?」
「あぁ。超絶美少女だろ」
「……そうだね」
彼女の周りにいるのは女子ばかり。男子は自分と同様に遠巻きで眺めているだけだ。
「お前行けよ」「俺!?」「昼休みに話しかけようぜ」「女子離れてくんねえかな」等、コソコソ話している内容が聞こえてくる。皆話しかけたいのだ。しかしあの中に入ったなら、女子に疎まれ蹴散らされるだろう。
皆想像する未来は同じだな、とクラスメイトの男子の気持ちを痛い程理解していると、聡里がちょいちょいと袖を引っ張ってきた。
「好きなの?城之内さんのこと」
「うえっ!?」
「どうなの?」
急な恋愛話に驚き、眉を寄せる。
自分の恋愛に聡里は興味があるのか。
「まあ、可愛いとは思う」
「ふうん.....面食い」
「うるせえ、男は皆可愛い子が好きなんだよ」
「ふんっ、あんたみたいなのが城之内さんに、相手にされるわけないけどね」
その言葉は胸に刺さった。
付き合いたいと本気で思っているわけではないが、直接言われると傷つく。
「人気だね、城之内さん」
「可愛いからな」
「あんたそれしか言ってないじゃん」
「だって可愛いだろ」
「まあ、うん」
あの天使を可愛くないと思う人間はいない。
「聡里が素直に褒めるなんてな」
「うるさいな。でも、可愛すぎて気味が悪いかも」
「はぁ?」
「だってあんな可愛い子みたことないし」
「気持ちは分からんでもない。俺もあんな美少女は初めて見た」
オタク友達が城之内さんを見たらきっと気絶し、あの美貌の前にひれ伏すだろう。
自分も彼女に「私の前にひれ伏しなさい」と言われたら喜んでそうする。人間、美しいものには弱いのだ。
「あ、次確か移動教室じゃなかったか?」
そう言うと周りにいた女子が「わたしたちが案内するから白井はいいよ」と、睨んできた。
自分だって城之内さんと話したい。それはきっとクラスの男子皆が思っていることだろう。
一度朱里と目が合った幸雄だが、質問に答えるのに忙しいようで困ったように逸らされた。
それでも一つの質問にきちんと答えている姿は好感度が高い。嫌な顔せず喧しい女子の質問に、健気に答えている。
初めての土地で心細く、早くクラスに溶け込もうとしている。きっと前の学校ではさぞかし人気者だったに違いない。
可愛いし、優しいし、真摯に女子と接している姿は好感が持てる。
教科書を持って聡里と移動するため教室を出ようとすると、朱里が寂しそうな顔で幸雄を見ていた。
それでも幸雄はあの女子たちの中へ入っていくことができなかった。
「幸雄さ」
「なんだ?」
いつも移動教室はクラスの友達か一人でしているのだが、今日は聡里と一緒だ。聡里の友達も朱里に興味があるのか、朱里を囲む輪の中にいた。
幸雄の友達も教室の後ろで動かずじっと女子たちを眺めていた。お互い一人になったため一緒に理科室まで歩く。
「好みのタイプってどんなの?」
「は、はぁ?好み?」
「あ、あんたに恋人ができたとかそういう話聞いたことないし。理想が高いのかと思っただけよ」
急な質問に素っ頓狂な声をあげる。
理想なんて挙げればキリがない。
美人で頭が良くて優しくて言うこと何でも聞いてくれて。
だが所詮は理想。
「好きになった子がタイプ、かな」
「なにそれ」
「好みって言っても、どんな子を好きになるかなんて分かんないだろ」
「恰好つけてもかっこよくないっつうの」
聡里は幸雄を褒めたことがない。
朱里ならば笑顔で「そうだよね」とでも言うのだろう。
そっぽを向きながら歩く聡里を横目で見ながら無意識のうちに朱里のことを考えていた。