「カーテンは何枚買うの?」
「玄関から見えるあの窓だけにしようと思ってるの。他の窓のカーテンは閉めないし、私の部屋だけでいいかなって」
「そっか、明日買いに行くんだよね?」
「うん、そうしようかな」
「俺も一緒に行くよ。まだこの辺よく分からないと思うし、他にも何か買うようなら荷物持ちは任せて」
「ありがとう、本当は一人で行くの少し不安だったの」
「そっか、これからは気兼ねなく言ってよ」
幸雄と朱里が楽しく話していると聡里が横から「ねえ」と割り込んだ。
また何か変なことを言うのではないか、と不安になりながら言葉を待つ。
「朱里ちゃん、料理得意なの?」
「うん、実家では夕飯とか作ってたから。お菓子作りも好きだよ」
「ふうん、じゃあ得意料理とかあるの?」
「得意料理は、そうだなぁ、肉じゃがとアップルパイかな」
きっとこの美少女はどんな料理でも上手に作るんだろう。
「ふうん、なんであんなにアップルパイ作ったの?一人暮らしならあんなにいらないでしょ」
「それは…」
「何?」
聡里が朱里を追い込んでいる姿はこれで何度目だろうか。いくら嫌いだとしても、やりすぎなのではないか。とめなければと、口を出す前に朱里が答えた。
「皆と仲良くなろうと思って作ったの。食べてくれるか不安だったんだけどね」
「へえ、何で渡す相手が幸雄だったの?」
「一番最初に友達になったからだよ」
「へえ、男友達に手作りを渡すんだ、へえ」
そう言われてきょとん顔をする朱里。
それは、仕方ないだろう。男友達はいないと言っていたため、距離感がよく分からないのも仕方ない。
「聡里ちゃんって、もしかして…幸雄くんのこと好きなの?」
その言葉で危うくお茶を噴き出すところだった。
「んな、な、な、何言って!」
聡里は顔を真っ赤にさせて否定する。
しかしその反応は返って幸雄に、一瞬ではあったがまさかと思わせてしまった。
「あれ?違ったかな」
「当たり前でしょ!っていうか何なの!?」
「えっと、ごめんね。もしかしたらそうかなって思ったから、つい…」
「あんた….」
何を思ったか、急に親の仇でも見るような目で朱里を睨みつける。
その反応に幸雄はついていけないが、聡里が敵意剥き出しであることは見てとれた。
「聡里、落ち着けよ。別にお前俺のこと好きじゃないだろ。笑って流せるくらい器を大きく持てって」
「......は」
呆然と見つめる聡里。何か変なことを言ったかと心配になったが、変なことは何も言っていないはずだ。自信が少しなくなったため、朱里に視線を移すと自分の何が逆鱗に触れたか分からないようで首を傾げていた。
「なんなの、もういい」
「聡里?」
「覚えてなさいよ、あんた..」
「さ、聡里ちゃん?」
「白々しい!!帰る!!」
鞄を引っ掴んでドスドス足音を立て、思い切り扉を閉めて出て行った。
「あの、私、何かしたのかな」
「大丈夫だよ。あいつはいつもあんな感じだから。でも今回はなんか泣きそうだったな…」
「折角来てもらったのに、申し訳ないことしたよね」
「いや、あいついっつもあんな感じだから」
「でも」
「あ、俺がアップルパイ届けようか」
「今聡里ちゃんに私の作ったアップルパイが届いたら、捨てられそう。それにもっと嫌われそうだから…」
「あ、そっか….気が付かなくてごめん」
ここまで迷惑をかけておいて謝りもしなんてどういうことだ、あいつは一体何がしたいんだと流石に幸雄も苛ついた。
聡里のことは嫌いじゃないし、もう何年もの付き合いだ。
ただ、あまりにも朱里に対して酷い態度をとるようなら付き合い方を少し考えたい。
正当な理由がないのに嫌いだと言うのは、好きじゃない。
今回のことは一方的に怒っているだけ。何が嫌だったのか言わないと分からないし改善のしようがないだろう。
聡里は友達が多い。だが朱理はまだ転校して間もないので友達は少ない。一方的に嫌ったとしても朱里の方が立場は弱いため、露骨に態度に出すのは良くない。
朱里の立場の弱さを利用してどうこうする人間だと思っていないが、人間追い込まれると何をするか分からない。
「玄関から見えるあの窓だけにしようと思ってるの。他の窓のカーテンは閉めないし、私の部屋だけでいいかなって」
「そっか、明日買いに行くんだよね?」
「うん、そうしようかな」
「俺も一緒に行くよ。まだこの辺よく分からないと思うし、他にも何か買うようなら荷物持ちは任せて」
「ありがとう、本当は一人で行くの少し不安だったの」
「そっか、これからは気兼ねなく言ってよ」
幸雄と朱里が楽しく話していると聡里が横から「ねえ」と割り込んだ。
また何か変なことを言うのではないか、と不安になりながら言葉を待つ。
「朱里ちゃん、料理得意なの?」
「うん、実家では夕飯とか作ってたから。お菓子作りも好きだよ」
「ふうん、じゃあ得意料理とかあるの?」
「得意料理は、そうだなぁ、肉じゃがとアップルパイかな」
きっとこの美少女はどんな料理でも上手に作るんだろう。
「ふうん、なんであんなにアップルパイ作ったの?一人暮らしならあんなにいらないでしょ」
「それは…」
「何?」
聡里が朱里を追い込んでいる姿はこれで何度目だろうか。いくら嫌いだとしても、やりすぎなのではないか。とめなければと、口を出す前に朱里が答えた。
「皆と仲良くなろうと思って作ったの。食べてくれるか不安だったんだけどね」
「へえ、何で渡す相手が幸雄だったの?」
「一番最初に友達になったからだよ」
「へえ、男友達に手作りを渡すんだ、へえ」
そう言われてきょとん顔をする朱里。
それは、仕方ないだろう。男友達はいないと言っていたため、距離感がよく分からないのも仕方ない。
「聡里ちゃんって、もしかして…幸雄くんのこと好きなの?」
その言葉で危うくお茶を噴き出すところだった。
「んな、な、な、何言って!」
聡里は顔を真っ赤にさせて否定する。
しかしその反応は返って幸雄に、一瞬ではあったがまさかと思わせてしまった。
「あれ?違ったかな」
「当たり前でしょ!っていうか何なの!?」
「えっと、ごめんね。もしかしたらそうかなって思ったから、つい…」
「あんた….」
何を思ったか、急に親の仇でも見るような目で朱里を睨みつける。
その反応に幸雄はついていけないが、聡里が敵意剥き出しであることは見てとれた。
「聡里、落ち着けよ。別にお前俺のこと好きじゃないだろ。笑って流せるくらい器を大きく持てって」
「......は」
呆然と見つめる聡里。何か変なことを言ったかと心配になったが、変なことは何も言っていないはずだ。自信が少しなくなったため、朱里に視線を移すと自分の何が逆鱗に触れたか分からないようで首を傾げていた。
「なんなの、もういい」
「聡里?」
「覚えてなさいよ、あんた..」
「さ、聡里ちゃん?」
「白々しい!!帰る!!」
鞄を引っ掴んでドスドス足音を立て、思い切り扉を閉めて出て行った。
「あの、私、何かしたのかな」
「大丈夫だよ。あいつはいつもあんな感じだから。でも今回はなんか泣きそうだったな…」
「折角来てもらったのに、申し訳ないことしたよね」
「いや、あいついっつもあんな感じだから」
「でも」
「あ、俺がアップルパイ届けようか」
「今聡里ちゃんに私の作ったアップルパイが届いたら、捨てられそう。それにもっと嫌われそうだから…」
「あ、そっか….気が付かなくてごめん」
ここまで迷惑をかけておいて謝りもしなんてどういうことだ、あいつは一体何がしたいんだと流石に幸雄も苛ついた。
聡里のことは嫌いじゃないし、もう何年もの付き合いだ。
ただ、あまりにも朱里に対して酷い態度をとるようなら付き合い方を少し考えたい。
正当な理由がないのに嫌いだと言うのは、好きじゃない。
今回のことは一方的に怒っているだけ。何が嫌だったのか言わないと分からないし改善のしようがないだろう。
聡里は友達が多い。だが朱理はまだ転校して間もないので友達は少ない。一方的に嫌ったとしても朱里の方が立場は弱いため、露骨に態度に出すのは良くない。
朱里の立場の弱さを利用してどうこうする人間だと思っていないが、人間追い込まれると何をするか分からない。