一ページ

リリーシャの家にて
リリーシャ、山本、樹がリビングのテーブルで漫画原稿の作業している

山本が窓の外を見る

山本「いや、異世界って本当に存在するんですね」

山本「それに長谷川さんが急に地球での世界の方が時間の進み具合が遅いから異世界に来て漫画描けばいいと言われた時は何を言っているのだ、この人はと思いましたよ」

二ページ

山本「たしかに、長谷川さんの言うとおりなら異世界で二時間、漫画の作業をしていても現実世界では二十分しか経っていないならここで作業した方がいいですよね」

樹「そうだよ、時間のない自分らにとって、とっておきの場所だよ」

リリーシャ「これは異世界と現実世界を行き来する有効活動だね」

リリーシャ、山本、樹は原稿作業に集中する

三ページ

樹(漫画を描いたのは何年振りだろう…あの頃は高校から真っすぐ帰ってきては漫画を描いていたな…)

樹(まあ才能は開花せず今に至るけど…)

それからリリーシャはトーンがもう無いことに気付く。

リリーシャ「山本先生、もうトーンがありません」

四ページ

山本「それじゃあ、誰か買いに…」

リリーシャ「それなら私買いに行きます!」
リリーシャはすぐそう言った。

樹は自分の携帯番号が書いてあるメモをリリーシャに渡す

樹「なにかあったら自分の携帯に連絡して」

リリーシャ「わかった、それでは行ってきます!」

リリーシャはワープの穴で地球に行く。

五ページ

時間は過ぎ

山本と樹は原稿の作業している

樹「遅い。神保町ならそんなに時間はかからないはずなのに」

山本「神保町には売り切れていて他に探しに行っているかもしれませんよ」

樹「デジタルが主流のこの時代にトーンが売り切れることなんてないと思うけど」

樹「山本くんもデジタルに移行したら、便利だよ」

山本「いや、アナログにはアナログの良さがあるんですよ!」

六ページ

そしてまた時間は過ぎ

樹「遅い、いくらなんでも遅すぎる。なにかあったのかな……」

樹「でもなにかあったら電話するように言っているから大丈夫かな」

山本「そういえばここって地球の電波入るのですか?」

樹は携帯を見る

樹「あっ、電波入ってないや」

山本「それじゃあ、なにかあっても連絡できないじゃないですか」

七ページ

樹「そうだよね……心配だな」

そして突然、樹の脳内に直接誰かが語りかける

リリーシャ(樹、大変だよ!)

樹(えっ、リリーシャ!?なんで脳内に直接!?)

リリーシャ(これはテレパシーの魔法だよ)

樹(へえ、そうなのか)

八ページ

リリーシャ(それより今、神保町の古本屋にいてさ!)

樹(えっ、何でそんな所に?トーンは買えたの?)

リリーシャ(もちろん買えたよ)

九ページ

樹(じゃあ早く戻って、急いでいるから)

リリーシャ(そんなことより大変よ!古本屋で本を漁っていたら見つけたのよ)

リリーシャ(幻の漫画、足塚遅虫の新黄金島!)

樹(何かの間違いでしょ、あんなのただの都市伝説で実在しないよ)

十ページ

リリーシャ(いや絶対間違いじゃないって!)

樹(まあいいから!とりあえず早く帰ってきてね)

そしてテレパシーが終わった

山本「長谷川さん!?様子が変でしたけどどうかしましたか?」

樹「いやリリーシャがさあ脳内に直接語りかけてさ……」

十一ページ

山本「ええ!あの幻の漫画、新黄金島を神保町の古本屋で見つけた!」

樹「まあ、あれは単なる噂で実在なんかしないでしょ」

山本「でも本当ならすごいじゃないですか!」

樹「そうだけど…まあ違うでしょ」

十二ページ

リリーシャの家のリビングのテーブルにて

リリーシャ「買っちゃいました!」

テーブルに新黄金島が置いてある

山本「これ本物ぽくないですか」

十三ページ

樹「たしかに、そうかもしれない」

樹「今度近いうちに査定出してみるか」

そして何時間も集中して漫画の作業する樹、山本、リリーシャ

そして時間は過ぎ

樹は原稿の最終確認をしている

十四ページ

樹「よし終わった」

樹、リリーシャ、山本はホっとした表情見せた。

山本「リリーシャさん、長谷川さん、この度はありがとうございました」

リリーシャ「いえいえ、山本先生のお役に立てて光栄です」

十五ページ

樹「まあまた何かあったら遠慮なく言ってね」

数週間後

樹の家にて

リリーシャ、樹、山本は頑張って描いた漫画が載っている漫画雑誌を見ている

十六ページ

リリーシャ「なんか私が手伝った漫画が雑誌に載っているのを見ると感動的だわ」

樹「山本くん、リリーシャ本当にお疲れ」

樹「それじゃあ、あの漫画の査定してもらいに行くか!」

査定の店にて

十七ページ

店員に新黄金島を査定してもらっている

樹、リリーシャ、山本は真剣な顔している

そして査定が終わる

店員「査定終わりました」

十八ページ

店員「この足塚遅虫の新黄金島、正真正銘の本物です」

リリーシャ「ほらやっぱり本物じゃん」

樹「まさか本当に実在するとは…」

樹は幻の漫画が実在することに動揺を隠しきれてない

店員「いや、びっくりしましたよ。本当にあるなんて」

十九ぺージ

山本「査定額ってどれぐらいですか?」

店員「まあ大体六百万ぐらいですかね」

リリーシャ 樹 山本「えー!」

店員「これうちで買い取ることもできるのですけどどうします?」

リリーシャ 樹 山本がお互い目を合わせる

二十ページ

そして帰り道

リリーシャが新黄金島を抱きしめている

樹「これは売らないで正解だね」

山本「そうですね」

二十一ページ

リリーシャ「あの店でこの幻の漫画は六百万という価値が付けられたけど私達には値段がつけられない価値があると思っているんだもの」

樹「でも売って六百万という大金を得たいという気持ちが少なからずあったな」

そして帰り道を歩いていく三人