ロボット工学――特にアンドロイドの技術が飛躍的な発展を遂げたことで、アンドロイドの量産および販売が開始され、世界で普及されるようになったのは、まだわたしも生まれていない頃の話。

 人間と見分けがつかないくらい人間にそっくりなロボット、アンドロイド。

 人間社会にアンドロイドを導入することに異を唱える人は一定数いたらしい。だけど、人口減少に伴う人手不足が進み、なし崩し的にアンドロイドの実用化が実現されることになった。

 そして現在、西暦二〇XX年。
 人型人工知能ロボットがわたしたちの生活に介入することは当たり前となっていた。

 多種多様な性能のアンドロイドが開発、販売されるなか、わたしたち国民も一家に一台、裕福な家庭では使用目的に合わせて数台、もはや日本人の過半数はアンドロイドを所有していた。

 いまや学生でも自分専用のアンドロイドを持っている。入学してもう半年近く通っているわたしの高校でも、アンドロイドの持ち込みを許可していたことから、ほとんどの生徒がアンドロイドを連れて登校していた。

 そんなものよりスマホの持ち込みを正式に許可してくれたらいいのに。同じ機械なのに、なんでかさばるアンドロイドがよくて、スマホがだめなんだろう。

 とは、おそらくたいていの人は思わないのだろう。だってアンドロイドはスマホよりもずっと有能だから。高性能だから。そんなアンドロイドがあれば、みんな不満はないのだ。