*
——そういえば、ひとりごとを言う人はストレスを抱えているのだと聞いたことがある。
たとえば、不毛な恋に悩んでいたり。たとえば、自分の存在意義を人に依存していたり。そんなふうに心の靄を内に秘めているとき、感情を言葉にして外に出すことで無意識的にストレスを解消しているらしい。その感覚はわからなくもないけれど、私自身にはひとりごとを言う習慣はなかった。
では、私にはストレスはないのだろうか。まったくないと言えばうそになるけど、年齢の割に少ない部類だと思う。夫は高級取りで家族にやさしいし、私も家事に育児に忙しくも楽しく暮らせている。恵まれているほうなのだろう。あぁ、でもひとつ、娘のことは少し気がかりかもしれない。
深夜一時、夫も娘も寝静まり残されたリビングで、私はようやくひと息つき録画しておいたテレビドラマを見返していた。
テレビを見ているときに出演者の言葉に相槌を打つのは双葉の前でだけだった。そうすると双葉は笑ってくれるから。〝テレビに向かってひとりごとを言うお母さん〟というのはきっと、若い女の子から見たら奇妙でおもしろいものなのだろう。私は別になんとも思わないけれど、双葉が喜んでくれることがうれしくてつい演じてしまう。
でも、大学生になってから笑顔が減った双葉のことは前から気になっていて、それが私の悩みといえば悩みだ。
どうしたんだろう。大学でなにかあったのだろうか。勉強? 人間関係? その問いはいつも頭の中だけで展開され、口には出せない。不思議なものだ。どうでもいいひとりごとは口にするくせに、大事なことは言わない方がいい気がしてしまう。それは最近、私が〝距離感〟というものを考えはじめたからなのだろう。
そんなことを思っていると、ふと誰かが階段から降りてくる足音がしてドアのほうを振り返った。
少しして、双葉がドアを開けて入ってきた。二時間前におやすみ、と言って別れたはずなのにまだ起きていた。それより気になるのは目もとの腫れだ。泣いていたのかもしれない。
「どうしたの?」
「……眠れなくて」
「ホットミルク、飲む?」
〝なにかあった?〟——その言葉が喉元まで出かかったけれど、それを口にすることはしなかった。大学一年生。思い悩むことはあるだろう。この歳になると自分から言い出すまではなかなか立ち入られない。そろそろ私は娘との距離感を考える時期にきている。近すぎてもいけない、遠すぎてもいけない。私は昔から双葉に対して過保護になりがちだから、もう少し距離をとったほうがいいと思う。でもどうだろう、夜中に泣いていて眠れないというならそれとなく話を聞いてみるべきか。何年親をやっていても、その辺のバランスは手探りだ。
葛藤を顔に出さないように立ち上がり、キッチンへ向かう。
マグカップに牛乳と砂糖を入れ、電子レンジに入れる。音が鳴って開けると、湯気とやさしい香りが辺りを包んだ。
双葉と一緒に選んだガラス製のローテーブルにカップを置くと、双葉は少しだけ目もとを和ませて手に取った。
「お母さん、今夜はテレビにツッコまないんだね」
ホットミルクをちびちびと口にしながら双葉がつぶやいた。
私は頬杖をつきながらドラマの続きを見ていたのだけど、頭の中では双葉のことを考えていたのでいつものようにつぶやくのを忘れていた。不覚だ。
「話しかけるのは情報番組だけなの」
「そうだったっけ。なんにでも話しかけてるイメージだった」
「そうかな」
ドラマの流れが全然頭に入ってこない。やっぱりだめだ。世間的にはもう〝大人〟である双葉だけれど、私にとってはいつまでもかわいい娘なのだ。
テレビを消して、双葉と向き合った。
双葉は急にこちらを向いた私に戸惑いながらも、しばらくするとなにかを決意したように、マグカップを両手で包み込んだ。
「……あのさ。私……好きな人が、いるんだけど」
俯くその瞳には、もうすでに涙が溜まっていた。
私はなんでもないことのように、小さく頷く。
「あら、すてきね」
「全然すてきじゃないよ……。ただの片思いなの。ていうか……ストーカー? その人のネットの投稿をひとりで眺めてるだけ」
「インターネットで見てるだけならストーカーにはならないでしょ」
双葉は笑いながら首をかしげ、話を続けた。
「高校の頃の同級生なの。話したこともないんだけど、たくましい感じがかっこよくて。ずっと憧れてた。……でも、最近SNSを見てるとその人に彼女がいる気がしちゃって。なんか、悲しくて」
言い切る前に、双葉はパジャマの袖で目を拭った。私の前では涙を我慢しがちな双葉が今、泣いている。でも動揺してはいけない。私が慌てることでおおごとにしてはいけない。助けを求められる側は冷静に、穏やかに、毅然としていなければ。
しばらく間を置いて、双葉が落ち着いたところで答えた。
「まだ、恋人がいるって決まったわけじゃないのね」
「うん……。でも、今はいなかったとしても、いつかはできるかもしれないし。いつまでもこんなことしてても意味なんかないし。……だからもう、片思いなんてやめたほうがいいよね」
双葉はすでに自分で結論を出しているようだった。なにも言わずに双葉の目を見返す。
それでも、いい。恋を諦めることは別に悪いことじゃないし、今の状況なら健全な判断だ。双葉がそうしたいなら、私はどんな選択も尊重する。
ただ、私は彼女に最後の希望を提示した。
「じゃあさ、勇気出して会ってみるのはどう?」
そう言うと、双葉は一瞬きょとんとした目をして私を見つめた。
そしてひと口ホットミルクを飲み、薄く笑う。
「人ごとだと思って……。会えないよ。話したこともないのに。会える機会だってもう、ないんだから」
「渡し忘れてたんだけどね、今朝、同窓会のハガキ来てたよ」
棚の上に置いておいたハガキを手に取り、双葉の前に差し出した。
双葉はそれをすぐに手に取り、まじまじと見つめた。
「高校の同窓会。学年単位なんだって。まだ卒業して一年も経ってないのに早いよね。でもこれで、もし彼が来てたら会えるんじゃないかな」
「えー……。……でも、話せないよ。私、人前に出るとうまく話せないの。お母さんとか、仲のいい友達とならマシなんだけど」
「いいじゃない。うまく話せなくても」
双葉の潤んだ目が私を見つめる。
「そのままのこと伝えたら? もし嫌がられても、どうせもう会わないと思えば気が楽でしょ。たまたまインターネットで見かけて眺めてました、高校の頃からかっこいいなって思ってました、って伝えてみたら?」
双葉の表情は変わらなかったけれど、またハガキを眺めはじめた双葉の瞳には輝きが戻っていて、つい私も笑みがこぼれてしまった。
私は、双葉の幸せを願ってる。
彼女は小さな頃から不器用で、うまく人に心を開けないことも、あらゆる場面で生きづらそうにしていることも感じていた。それでも、彼女の人生が少しでもうまくいくように、限りない愛情で支えてきたつもりだ。
ぶつかって、くじけて、休んで。
そうしていつか、たくさんの幸せを手に入れられるといい。素朴で温かな未来が訪れるといい。
どんなにうまくいかなくても、私はずっとそばにいるから。
お父さんもお母さんも、どんなことがあっても双葉の味方だから。
だから大丈夫。なんでもやってみるといい。その結果がどうであっても、私はいつでもこの場所で双葉のことを見守っている。
双葉がこれからも、自分のペースで一歩ずつ前に進んでいくことを願ってる。
「……また、黒歴史増えちゃうかもよ」
双葉は眉根を下げつつも、口元には笑みを浮かべていた。
「いいんじゃないの。お母さんだって人生、思い返すと恥ずかしい思い出ばっかりだよ。学生時代には振られたりもした。黒くない歴史なんて、お父さんと双葉と出会えたことくらい」
「うわ、くさっ……」
いつもの笑顔が戻る。心から安心できる、娘の笑顔だ。
双葉はホットミルクを飲み干すと、マグカップをシンクに持っていった。そして戻ってきて机の上のハガキをしばらく見つめたあと、さっと手に取った。
「眠くなってきちゃった。もう寝るね」
「そっか、よかった。おやすみ」
「おやすみ。……あの、お母さん」
へへ、と笑う、双葉の顔は親バカだけれどとても愛らしい。
「ありがとう」
そう言い残すと、双葉はリビングのドアを開け、階段を駆け上がった。静まった部屋に、やさしいミルクの香りだけが漂っている。
双葉はどんな決断をするのだろう。それは私にはわからない。笑顔を取り戻してはいたけれど、やっぱり朝になって冷静になったら怖気づいて同窓会は不参加にするかもしれないし、行ったところで意中の彼に話しかけずに終わるかもしれない。
でも、どれを選んでもそれは双葉の道だ。
私は見守るだけ。気になってしまうけれど、今後はあまりかまいすぎないようにしなければ。つまりは、子離れだ。
さみしいけれど、双葉はずっと私のそばにいるわけじゃない。弱々しい娘だけれど、いつか巣立っていけるように。ひとりでも生きていけるように。親と子の距離感は、今後私が勉強していかなければならない課題なのだろう。
……さて。
ふう、とひとつ息を吐いて、立ち上がった。
棚の中に隠していたスマホを手に取り、スタンドミラーの前に立つ。一応この時間でも自分の身なりは気にする。簡単な部屋着だけれど着崩れてはないか、髪はきれいにまとまっているかを確認しながらスマホを開く。数タップで目的地にたどり着き、まじまじと画面を見つめてから髪をゆるく結んだ。
——そういえば、ひとりごとを言う人はストレスを抱えているのだと聞いたことがある。
たとえば、不毛な恋に悩んでいたり。たとえば、自分の存在意義を人に依存していたり。そんなふうに心の靄を内に秘めているとき、感情を言葉にして外に出すことで無意識的にストレスを解消しているらしい。その感覚はわからなくもないけれど、私自身にはひとりごとを言う習慣はなかった。
では、私にはストレスはないのだろうか。まったくないと言えばうそになるけど、年齢の割に少ない部類だと思う。夫は高級取りで家族にやさしいし、私も家事に育児に忙しくも楽しく暮らせている。恵まれているほうなのだろう。あぁ、でもひとつ、娘のことは少し気がかりかもしれない。
深夜一時、夫も娘も寝静まり残されたリビングで、私はようやくひと息つき録画しておいたテレビドラマを見返していた。
テレビを見ているときに出演者の言葉に相槌を打つのは双葉の前でだけだった。そうすると双葉は笑ってくれるから。〝テレビに向かってひとりごとを言うお母さん〟というのはきっと、若い女の子から見たら奇妙でおもしろいものなのだろう。私は別になんとも思わないけれど、双葉が喜んでくれることがうれしくてつい演じてしまう。
でも、大学生になってから笑顔が減った双葉のことは前から気になっていて、それが私の悩みといえば悩みだ。
どうしたんだろう。大学でなにかあったのだろうか。勉強? 人間関係? その問いはいつも頭の中だけで展開され、口には出せない。不思議なものだ。どうでもいいひとりごとは口にするくせに、大事なことは言わない方がいい気がしてしまう。それは最近、私が〝距離感〟というものを考えはじめたからなのだろう。
そんなことを思っていると、ふと誰かが階段から降りてくる足音がしてドアのほうを振り返った。
少しして、双葉がドアを開けて入ってきた。二時間前におやすみ、と言って別れたはずなのにまだ起きていた。それより気になるのは目もとの腫れだ。泣いていたのかもしれない。
「どうしたの?」
「……眠れなくて」
「ホットミルク、飲む?」
〝なにかあった?〟——その言葉が喉元まで出かかったけれど、それを口にすることはしなかった。大学一年生。思い悩むことはあるだろう。この歳になると自分から言い出すまではなかなか立ち入られない。そろそろ私は娘との距離感を考える時期にきている。近すぎてもいけない、遠すぎてもいけない。私は昔から双葉に対して過保護になりがちだから、もう少し距離をとったほうがいいと思う。でもどうだろう、夜中に泣いていて眠れないというならそれとなく話を聞いてみるべきか。何年親をやっていても、その辺のバランスは手探りだ。
葛藤を顔に出さないように立ち上がり、キッチンへ向かう。
マグカップに牛乳と砂糖を入れ、電子レンジに入れる。音が鳴って開けると、湯気とやさしい香りが辺りを包んだ。
双葉と一緒に選んだガラス製のローテーブルにカップを置くと、双葉は少しだけ目もとを和ませて手に取った。
「お母さん、今夜はテレビにツッコまないんだね」
ホットミルクをちびちびと口にしながら双葉がつぶやいた。
私は頬杖をつきながらドラマの続きを見ていたのだけど、頭の中では双葉のことを考えていたのでいつものようにつぶやくのを忘れていた。不覚だ。
「話しかけるのは情報番組だけなの」
「そうだったっけ。なんにでも話しかけてるイメージだった」
「そうかな」
ドラマの流れが全然頭に入ってこない。やっぱりだめだ。世間的にはもう〝大人〟である双葉だけれど、私にとってはいつまでもかわいい娘なのだ。
テレビを消して、双葉と向き合った。
双葉は急にこちらを向いた私に戸惑いながらも、しばらくするとなにかを決意したように、マグカップを両手で包み込んだ。
「……あのさ。私……好きな人が、いるんだけど」
俯くその瞳には、もうすでに涙が溜まっていた。
私はなんでもないことのように、小さく頷く。
「あら、すてきね」
「全然すてきじゃないよ……。ただの片思いなの。ていうか……ストーカー? その人のネットの投稿をひとりで眺めてるだけ」
「インターネットで見てるだけならストーカーにはならないでしょ」
双葉は笑いながら首をかしげ、話を続けた。
「高校の頃の同級生なの。話したこともないんだけど、たくましい感じがかっこよくて。ずっと憧れてた。……でも、最近SNSを見てるとその人に彼女がいる気がしちゃって。なんか、悲しくて」
言い切る前に、双葉はパジャマの袖で目を拭った。私の前では涙を我慢しがちな双葉が今、泣いている。でも動揺してはいけない。私が慌てることでおおごとにしてはいけない。助けを求められる側は冷静に、穏やかに、毅然としていなければ。
しばらく間を置いて、双葉が落ち着いたところで答えた。
「まだ、恋人がいるって決まったわけじゃないのね」
「うん……。でも、今はいなかったとしても、いつかはできるかもしれないし。いつまでもこんなことしてても意味なんかないし。……だからもう、片思いなんてやめたほうがいいよね」
双葉はすでに自分で結論を出しているようだった。なにも言わずに双葉の目を見返す。
それでも、いい。恋を諦めることは別に悪いことじゃないし、今の状況なら健全な判断だ。双葉がそうしたいなら、私はどんな選択も尊重する。
ただ、私は彼女に最後の希望を提示した。
「じゃあさ、勇気出して会ってみるのはどう?」
そう言うと、双葉は一瞬きょとんとした目をして私を見つめた。
そしてひと口ホットミルクを飲み、薄く笑う。
「人ごとだと思って……。会えないよ。話したこともないのに。会える機会だってもう、ないんだから」
「渡し忘れてたんだけどね、今朝、同窓会のハガキ来てたよ」
棚の上に置いておいたハガキを手に取り、双葉の前に差し出した。
双葉はそれをすぐに手に取り、まじまじと見つめた。
「高校の同窓会。学年単位なんだって。まだ卒業して一年も経ってないのに早いよね。でもこれで、もし彼が来てたら会えるんじゃないかな」
「えー……。……でも、話せないよ。私、人前に出るとうまく話せないの。お母さんとか、仲のいい友達とならマシなんだけど」
「いいじゃない。うまく話せなくても」
双葉の潤んだ目が私を見つめる。
「そのままのこと伝えたら? もし嫌がられても、どうせもう会わないと思えば気が楽でしょ。たまたまインターネットで見かけて眺めてました、高校の頃からかっこいいなって思ってました、って伝えてみたら?」
双葉の表情は変わらなかったけれど、またハガキを眺めはじめた双葉の瞳には輝きが戻っていて、つい私も笑みがこぼれてしまった。
私は、双葉の幸せを願ってる。
彼女は小さな頃から不器用で、うまく人に心を開けないことも、あらゆる場面で生きづらそうにしていることも感じていた。それでも、彼女の人生が少しでもうまくいくように、限りない愛情で支えてきたつもりだ。
ぶつかって、くじけて、休んで。
そうしていつか、たくさんの幸せを手に入れられるといい。素朴で温かな未来が訪れるといい。
どんなにうまくいかなくても、私はずっとそばにいるから。
お父さんもお母さんも、どんなことがあっても双葉の味方だから。
だから大丈夫。なんでもやってみるといい。その結果がどうであっても、私はいつでもこの場所で双葉のことを見守っている。
双葉がこれからも、自分のペースで一歩ずつ前に進んでいくことを願ってる。
「……また、黒歴史増えちゃうかもよ」
双葉は眉根を下げつつも、口元には笑みを浮かべていた。
「いいんじゃないの。お母さんだって人生、思い返すと恥ずかしい思い出ばっかりだよ。学生時代には振られたりもした。黒くない歴史なんて、お父さんと双葉と出会えたことくらい」
「うわ、くさっ……」
いつもの笑顔が戻る。心から安心できる、娘の笑顔だ。
双葉はホットミルクを飲み干すと、マグカップをシンクに持っていった。そして戻ってきて机の上のハガキをしばらく見つめたあと、さっと手に取った。
「眠くなってきちゃった。もう寝るね」
「そっか、よかった。おやすみ」
「おやすみ。……あの、お母さん」
へへ、と笑う、双葉の顔は親バカだけれどとても愛らしい。
「ありがとう」
そう言い残すと、双葉はリビングのドアを開け、階段を駆け上がった。静まった部屋に、やさしいミルクの香りだけが漂っている。
双葉はどんな決断をするのだろう。それは私にはわからない。笑顔を取り戻してはいたけれど、やっぱり朝になって冷静になったら怖気づいて同窓会は不参加にするかもしれないし、行ったところで意中の彼に話しかけずに終わるかもしれない。
でも、どれを選んでもそれは双葉の道だ。
私は見守るだけ。気になってしまうけれど、今後はあまりかまいすぎないようにしなければ。つまりは、子離れだ。
さみしいけれど、双葉はずっと私のそばにいるわけじゃない。弱々しい娘だけれど、いつか巣立っていけるように。ひとりでも生きていけるように。親と子の距離感は、今後私が勉強していかなければならない課題なのだろう。
……さて。
ふう、とひとつ息を吐いて、立ち上がった。
棚の中に隠していたスマホを手に取り、スタンドミラーの前に立つ。一応この時間でも自分の身なりは気にする。簡単な部屋着だけれど着崩れてはないか、髪はきれいにまとまっているかを確認しながらスマホを開く。数タップで目的地にたどり着き、まじまじと画面を見つめてから髪をゆるく結んだ。