『Aランクダンジョン』。
それはゼラリオン王国で最難関ダンジョンとして有名である。
さらにAランクというだけで、各国は他国の冒険者を入れさせないようにしているほど、Aランクというダンジョンは貴重である。
そもそも敵が強いのは言うまでもないが、レベルを10まで目指す時に欠かせないのがこのダンジョンである。
この中を潜り抜けた六人だけが、最高レベル10に到達出来るのだ。
俺とフィリア、カール、ミリシャさん、アムダ姉さん、イロラ姉さん、カシアさんの七人でゼラリオン王国の『Aランクダンジョン』にやってきた。
入口の前には意外にもパーティーが二つもある。
「ん? あのパーティーって何処かで見たような……?」
大きな身体を持つ男が、俺を見ると感銘したように声をあげる。
俺に近づいた彼は、
「少年。久しぶりだな」
と、声を掛けてきた。
「あ! 『亡者の墓』の!」
「ああ。まさか、ここのダンジョンで会えるとはな」
「あ、あはは……最近ここまで来れるようになりまして、初めてなんです」
「ふむ……そうか、今日は七人なのか?」
「え? ええ、僕は指揮者なので、戦わないんです。戦うのは六人なんです」
「なるほど…………そうか。正規のパーティーか」
少し残念そうに語る男は、俺達のパーティーを眺める。
「少年。Aランクダンジョンの魔物は強い。気を付けなさい」
「ありがとうございます」
男性は俺の肩を優しく叩いて、入口から外に出て行った。
彼のパーティーのメンバーも俺達をまじまじと見ながら、外に出て行く
ついでに、もう一つのパーティーも俺達をまじまじと見ていた。
まあ、気にしても仕方ない。
「さあ、行こうか」
「「「おー!」」」
俺達は初めて『Aランクダンジョン』に入った。
目の前に広がっているのは、崖がある道が多岐に渡って続いている。
「えっと、あの崖から落ちたら……戻って来れないんだっけ?」
つまり――――死が待っているとされている。
「ええ。絶対に落ちないようにね?」
「ラビ。もしもの時はお願いね?」
「ぷぅー!」
ラビに空を飛ばして貰うのにも少し慣れたので、ラビも飛ばすのに慣れたようで自信ありげな返事だ。
それにルーもいるので、もしもの時は、ルーに乗って移動するか。
そもそも、ルーの背中に乗れるのか?
「ソラ。基本的に遠距離主体の方が良いかもな」
「そうだね。遠距離で様子を見ようか。フィリア達は近づいて来た敵をお願い」
「「「はい!」」」
俺達は崖を気にしつつ、馬車三台ほどが通れそうな道を進む。
余程の無理をしなければ、この道から崖に落ちる事はないだろうけど……。
最初に出くわした魔物は、Bランク上位魔物の巨大サソリ魔物だ。
他のフロアなら、十分フロアボスとしての強さを持つ魔物だが、ここではこれで普通の魔物だ。
数はそれほど多くはないらしいが、一度に三体も出る場合があるそうだ。
「――――――、アイスランス! ダブルマジック!」
カールの詠唱から、既に2メートルの大きさまで達している巨大な氷の槍が二つ現れる。
二つの巨大な氷の槍が、巨大サソリに向かって飛んでいくが、サソリは当然のように、鋭い尻尾でアイスランスを振り払った。
「聞いていた通り、賢いな」
ここの魔物は強さもさることながら、賢いのも特徴だ。
サソリは正面を向いたまま、横斜めに移動する。
正面から来ないのも中々賢いと言えるだろう。
「イロラ! 引き付けて!」
「うん!」
今度はアムダ姉さんとイロラ姉さんが出ていく。
「ラビ! 援護を!」
ラビの鳴き声から風魔法がサソリを襲う。
サソリは、近くにいたイロラ姉さんを狙うが、イロラ姉さんは避ける事に集中して当たらない。
その間に、近づいたアムダ姉さんの打撃が決まる。
「っ!? か、硬い!」
すぐに離脱したアムダ姉さん。
「剣技、衝追斬!」
一瞬できた魔物の隙間で、フィリアの剣戟がサソリを斬る。
「…………フィリアの剣でも斬れないか」
「噂通り、硬いな」
「うん。対サソリ作戦開始!」
「「「はい!」」」
巨大サソリと普通に戦った場合、どれほど大変か試してみたが、思っていた以上に大変そうだ。
魔法が良く効くらしいが、当てるのにも一苦労しそうなので、俺達はもう一つの作戦を試す事にした。
先程と同じくイロラ姉さんとフィリアが囮になって、サソリの攻撃を避ける。
その隙間に、アムダ姉さんが近づいた。
「武道技! 発勁!」
アムダ姉さんの紫色に光る右手がサソリに当たる。
とても強そうには見えないが、直後サソリが大声をあげる。
目の色を変えたサソリがアムダ姉さんを狙い付けるが、その隙にイロラ姉さんとフィリアは長い後ろ脚の関節に重点的に攻撃を試みる。
「斬れた!」
フィリアの鋭い双剣がサソリの後ろ脚の関節を斬り落とす。
サソリは威嚇の鳴き声をあげ、フィリアを狙うと、再度アムダ姉さんの攻撃が始まり、少しずつ動きが遅くなる。
「――――――、アイスランス! ダブルマジック!」
大きな氷の槍がサソリの大きな二つの触肢に刺さり、その場から動けなくなる。
その隙に、俺の隣で力を溜めていたカシアさんが走る。
その両手に込められた光から凄まじい力を感じる。
「武道技! 発勁!」
カシアさんの攻撃がサソリの中心に直撃し、数秒後サソリはブルブル震え、その場から消えていった。
巨大サソリは、硬いが内部は非常に脆い。
武闘家や武道家が使える発勁というスキルが非常に活躍する魔物である。
それはゼラリオン王国で最難関ダンジョンとして有名である。
さらにAランクというだけで、各国は他国の冒険者を入れさせないようにしているほど、Aランクというダンジョンは貴重である。
そもそも敵が強いのは言うまでもないが、レベルを10まで目指す時に欠かせないのがこのダンジョンである。
この中を潜り抜けた六人だけが、最高レベル10に到達出来るのだ。
俺とフィリア、カール、ミリシャさん、アムダ姉さん、イロラ姉さん、カシアさんの七人でゼラリオン王国の『Aランクダンジョン』にやってきた。
入口の前には意外にもパーティーが二つもある。
「ん? あのパーティーって何処かで見たような……?」
大きな身体を持つ男が、俺を見ると感銘したように声をあげる。
俺に近づいた彼は、
「少年。久しぶりだな」
と、声を掛けてきた。
「あ! 『亡者の墓』の!」
「ああ。まさか、ここのダンジョンで会えるとはな」
「あ、あはは……最近ここまで来れるようになりまして、初めてなんです」
「ふむ……そうか、今日は七人なのか?」
「え? ええ、僕は指揮者なので、戦わないんです。戦うのは六人なんです」
「なるほど…………そうか。正規のパーティーか」
少し残念そうに語る男は、俺達のパーティーを眺める。
「少年。Aランクダンジョンの魔物は強い。気を付けなさい」
「ありがとうございます」
男性は俺の肩を優しく叩いて、入口から外に出て行った。
彼のパーティーのメンバーも俺達をまじまじと見ながら、外に出て行く
ついでに、もう一つのパーティーも俺達をまじまじと見ていた。
まあ、気にしても仕方ない。
「さあ、行こうか」
「「「おー!」」」
俺達は初めて『Aランクダンジョン』に入った。
目の前に広がっているのは、崖がある道が多岐に渡って続いている。
「えっと、あの崖から落ちたら……戻って来れないんだっけ?」
つまり――――死が待っているとされている。
「ええ。絶対に落ちないようにね?」
「ラビ。もしもの時はお願いね?」
「ぷぅー!」
ラビに空を飛ばして貰うのにも少し慣れたので、ラビも飛ばすのに慣れたようで自信ありげな返事だ。
それにルーもいるので、もしもの時は、ルーに乗って移動するか。
そもそも、ルーの背中に乗れるのか?
「ソラ。基本的に遠距離主体の方が良いかもな」
「そうだね。遠距離で様子を見ようか。フィリア達は近づいて来た敵をお願い」
「「「はい!」」」
俺達は崖を気にしつつ、馬車三台ほどが通れそうな道を進む。
余程の無理をしなければ、この道から崖に落ちる事はないだろうけど……。
最初に出くわした魔物は、Bランク上位魔物の巨大サソリ魔物だ。
他のフロアなら、十分フロアボスとしての強さを持つ魔物だが、ここではこれで普通の魔物だ。
数はそれほど多くはないらしいが、一度に三体も出る場合があるそうだ。
「――――――、アイスランス! ダブルマジック!」
カールの詠唱から、既に2メートルの大きさまで達している巨大な氷の槍が二つ現れる。
二つの巨大な氷の槍が、巨大サソリに向かって飛んでいくが、サソリは当然のように、鋭い尻尾でアイスランスを振り払った。
「聞いていた通り、賢いな」
ここの魔物は強さもさることながら、賢いのも特徴だ。
サソリは正面を向いたまま、横斜めに移動する。
正面から来ないのも中々賢いと言えるだろう。
「イロラ! 引き付けて!」
「うん!」
今度はアムダ姉さんとイロラ姉さんが出ていく。
「ラビ! 援護を!」
ラビの鳴き声から風魔法がサソリを襲う。
サソリは、近くにいたイロラ姉さんを狙うが、イロラ姉さんは避ける事に集中して当たらない。
その間に、近づいたアムダ姉さんの打撃が決まる。
「っ!? か、硬い!」
すぐに離脱したアムダ姉さん。
「剣技、衝追斬!」
一瞬できた魔物の隙間で、フィリアの剣戟がサソリを斬る。
「…………フィリアの剣でも斬れないか」
「噂通り、硬いな」
「うん。対サソリ作戦開始!」
「「「はい!」」」
巨大サソリと普通に戦った場合、どれほど大変か試してみたが、思っていた以上に大変そうだ。
魔法が良く効くらしいが、当てるのにも一苦労しそうなので、俺達はもう一つの作戦を試す事にした。
先程と同じくイロラ姉さんとフィリアが囮になって、サソリの攻撃を避ける。
その隙間に、アムダ姉さんが近づいた。
「武道技! 発勁!」
アムダ姉さんの紫色に光る右手がサソリに当たる。
とても強そうには見えないが、直後サソリが大声をあげる。
目の色を変えたサソリがアムダ姉さんを狙い付けるが、その隙にイロラ姉さんとフィリアは長い後ろ脚の関節に重点的に攻撃を試みる。
「斬れた!」
フィリアの鋭い双剣がサソリの後ろ脚の関節を斬り落とす。
サソリは威嚇の鳴き声をあげ、フィリアを狙うと、再度アムダ姉さんの攻撃が始まり、少しずつ動きが遅くなる。
「――――――、アイスランス! ダブルマジック!」
大きな氷の槍がサソリの大きな二つの触肢に刺さり、その場から動けなくなる。
その隙に、俺の隣で力を溜めていたカシアさんが走る。
その両手に込められた光から凄まじい力を感じる。
「武道技! 発勁!」
カシアさんの攻撃がサソリの中心に直撃し、数秒後サソリはブルブル震え、その場から消えていった。
巨大サソリは、硬いが内部は非常に脆い。
武闘家や武道家が使える発勁というスキルが非常に活躍する魔物である。