【児童誘拐監禁事件】
 二〇✕✕年十二月某日、○○市に住む小学一年生の児童ら二名が、何者かによって誘拐される事件があった。
 児童のうち一人は自力で脱走して山を下り、近くの民家に駆け込み、助けを求めたことで警察に通報が入った。地元の警察が児童の話から、監禁場所とされる山小屋に向かうと、物置になっている小屋でぐったりと倒れているもう一人の児童を発見。病院に運ばれた。命に別状はないという。
山小屋には複数の足跡が残されており、捜査員が総出で周辺を捜索したが、犯人らしき人物の発見には至らなかった。
 しかし、事件発覚の数日前、児童らの自宅に非通知の電話があり「子どもを返してほしければ、金を用意しろ」などという脅迫電話があったことが発覚。警察が事件として捜査を続け、発信元と契約していたスマホの所有者から、山小屋の所有者で近くに住む無職・相模透一容疑者を誘拐と監禁、恐喝の罪で逮捕した。
取り調べに対し、相模容疑者は「俺一人でやった。復讐のためだった」と供述。容疑を認めているが、児童らとの関わりについては黙秘している。
 その一週間後、拘留中の刑務所内で相模容疑者の死亡が確認された。数年前に病院で悪性腫瘍と診断、その時点で余命宣告を受けていたことが分かった。