そこは埃の湿っぽい臭いの籠もる奥の物置き小屋。

 泣き喚く少女の叫び声が徐々に近づき、やがてその少女は乱暴な音とともに小屋へ投げ込まれる。

 

『そこで反省していることね』



 冷ややかに響いたその声は無慈悲に遠ざかっていく。
 薄暗い小屋に押し込められた少女は、隅に小さくなって泣き声を殺した。


(やっちゃった。またやっちゃった……!)


 口を塞いでいても漏れる悲鳴にも似た少女の声は、時が経つほどに色が抜け落ち形を失っていく。


(助けて。助けて。誰か、助けて――)


 絶望の海に沈んでいくように、少女は固く身を丸め、冷たい手で耳を抑え込んだ。