一ノ瀬くんならわかると思うんだけど女子って怖いよね。一見、楽しそうに見えても裏で繰り広げられてるのは裏切り、悪口。私、元々すごい明るい性格だったの。友達もいっぱいいたし、誰とでも仲良くなれた。親には認めてもらえなかったんだけどね。お母さんもお父さんも私が頑張って成し遂げたことに対して全部、当たり前って感じなんだもん。だから色んな子と仲良くするのは当たり前田と思ってた。人を嫌っちゃいけない。人を悪く言っちゃいけない。そう思ってた。その時の私は女子の闇なんて知らなくてただただ学校生を満喫してた。けど、友達多くてもいい事無いね。友達の一人、麗美っていうんだけどさその子すごい悪口言う子で運が悪いことに私は麗美とも仲良くなっちゃったの。で、もう一人仲良い子がいて彩奈って名前でね。彩奈と私と麗美でいつも一緒にいたの。そしたらいつの間にか麗美と彩奈が仲悪くなってて麗美が彩奈のことをめちゃくちゃ嫌ってた。彩奈は仲直りしたかったらしいんだけど麗美が拒否ってた。私はどっちの味方でも無くてどっちとも仲良くしてたけど麗美からも彩奈からもお互いの悪口を聞いてた。彩奈も怖いよね。仲直りしたいとか言うくせに悪口も言うんだから。それで二人が仲悪くなってるって聞き付けた男子がからかって、二人を怒らせるのよ。どんどん悪口の輪が広がっちゃって、最終的にみんな私に悪口を言うの。そうして何ヶ月か経った時、なぜか彩奈と麗美が気がついたの。しかも仲直りしたのは割と前。なのに私に教えてくれなかったのは、今なら容易に分かる。標的が私に変わったんだ。八方美人だって言われたよ。可愛いからって調子乗ってる。って。私はただ巻き込まれただけたのに色んな人に言われたよ。仲直りさせてあげた二人、好きな人と付き合えるように関係を築いてあげた二人、仲を取り持ってあげたの四人、全員私がいなかったら今の関係はないのにそれを感謝もしないでみんなが悪口言ってるからって理由で私にストレスを発散してくる。悪口を言い合うことでお互いの関係を維持し、同じものを標的にすることで一体感が生まれる。残酷だ。でも大丈夫だった。私は悪くないから。いつか王子様が助けてくれる。暗い暗い場所から私を救い出してくれるそう信じてた。もちろん来なかったけどね。我ながらそんな事信じてた私が可愛いよ。漫画の中だったら、苦しい時に王子様が助けてくれるでしょ?私にも来てくれると思ったのよ。そんな中でもね好きな人がいたの。その人が王子様だと信じて。我ながら可愛い。その人とはいい感じだったの。何度か遊びも行ったし、暇さえあったら電話もしてた。これはいけるって思った。だから告白したの。そうしたら無理って即答されてね。
「お前、元々いい子ぶっててきもいと思ってた。」
だってさ。そんなふうに思われてたんだってショックだった。そんなふうに今にも泣きそうな気分で家に帰ったら親が喧嘩してた。離婚のためのね。お父さんの浮気…とかだった気がする。あまりにも酷い喧嘩だったから止めようとしたの。そしたら逆に突き飛ばされて
「何も出来ないお前が口出ししてくんな。」
って言われちゃった。何も出来ないって言葉がずっと頭に残って離れなかった。だから、誰からも必要とされてない私はいらないと思った。だから自殺しようとしたんだけど、いざとなったら怖くてね。そしたらまた何も出来ないって言葉が頭をよぎったよ。やっぱり私は無力だった。それで結局最後の一歩が踏み出せないまま帰って親は離婚、私はお父さんに引き取られて再婚。そっからは一ノ瀬くんの知ってる通りだよ。どう?一ノ瀬くんと比べたら大したことないでしょ?やっぱり誰にも認められないってのは辛いね。