「ドレミカ・アルバートを真の聖女と認める」
ナルハナ帝国の大聖堂。そこで行われていたのはドレミカ・アルバートのナルハナ帝国の正式な聖女として認められる大事な式。
大勢の貴族や王族達が彼女の門出を祝う為に大勢集まっていた。
しかし、肝心の精霊主達が来ていない。
それもその筈。ドレミカは人間に認められただけの偽りの聖女だからだ。
聖女は必ず精霊主達の加護を受ける。しかし、嘘で固められた彼女にはその加護を受ける価値も資格も無いに等しかった。
ドレミカは複製という特別なギフトを待つだけに過ぎない。彼女が見様見真似で覚えた聖女の魔法もただの紛い物。
本物の聖女を罵った挙句、でっち上げの罪を被せ死に至らしめ、偽りの聖女を崇める人間達に精霊主達は呆れた怒りを通り越していた。
だから精霊主達はドレミカの任命式には誰一人参加することはなかった。
本来、新しい聖女の為に祝福の花びらという精霊達の祈りが込められた美しい白い花が空から舞うのだが今回はそれがない。
ミスティアの時には溢れんばかりの花びらが舞ったというのにドレミカには舞うことはなかった。
「ドレミカ様の門出の日なのに何故だ…」
「精霊主達は何を考えて…」
人々は疑問の言葉を投げかける。
その言葉は当然ドレミカとハロルドの耳にも当然入る。
本人達も周りと同じ気持ちだった。特にドレミカは特別な日を精霊達に台無しにされたのに対し苛立ちを覚えていた。
けれど、大勢の観衆の前で本性を見せるわけにはいかない。ドレミカは今にも爆発しそうな感情を必死に抑えていた。
「ドレミカ…」
「私は大丈夫よハロルド。彼らが認めてくれなくても貴方とこの帝国の民達が信じてくれている。それだけ十分よ」
「当たり前だ。真の聖女は君しかあり得ない!精霊どもは何を考えているのか…!」
「……いつか分かってくれる筈よ。私が本物だって。私が正真正銘の聖女だって…」
自分をこんなにも慰め大切にしてくれるハロルドにこれ以上心配をかけたくなかった。
だが、いずれ皇帝となる彼を支える立派な聖女になると思い描いているドレミカの気持ちとは裏腹に事は次第に悪化してゆく。
(アイツは…あの女はもうこの世にはいないのよ?!どうして私を認めてくれないのよ?!!!)
悲鳴にも近いドレミカの叫びは口から出ることはなく怒りと共に心の中に納められたのだった。
ナルハナ帝国の大聖堂。そこで行われていたのはドレミカ・アルバートのナルハナ帝国の正式な聖女として認められる大事な式。
大勢の貴族や王族達が彼女の門出を祝う為に大勢集まっていた。
しかし、肝心の精霊主達が来ていない。
それもその筈。ドレミカは人間に認められただけの偽りの聖女だからだ。
聖女は必ず精霊主達の加護を受ける。しかし、嘘で固められた彼女にはその加護を受ける価値も資格も無いに等しかった。
ドレミカは複製という特別なギフトを待つだけに過ぎない。彼女が見様見真似で覚えた聖女の魔法もただの紛い物。
本物の聖女を罵った挙句、でっち上げの罪を被せ死に至らしめ、偽りの聖女を崇める人間達に精霊主達は呆れた怒りを通り越していた。
だから精霊主達はドレミカの任命式には誰一人参加することはなかった。
本来、新しい聖女の為に祝福の花びらという精霊達の祈りが込められた美しい白い花が空から舞うのだが今回はそれがない。
ミスティアの時には溢れんばかりの花びらが舞ったというのにドレミカには舞うことはなかった。
「ドレミカ様の門出の日なのに何故だ…」
「精霊主達は何を考えて…」
人々は疑問の言葉を投げかける。
その言葉は当然ドレミカとハロルドの耳にも当然入る。
本人達も周りと同じ気持ちだった。特にドレミカは特別な日を精霊達に台無しにされたのに対し苛立ちを覚えていた。
けれど、大勢の観衆の前で本性を見せるわけにはいかない。ドレミカは今にも爆発しそうな感情を必死に抑えていた。
「ドレミカ…」
「私は大丈夫よハロルド。彼らが認めてくれなくても貴方とこの帝国の民達が信じてくれている。それだけ十分よ」
「当たり前だ。真の聖女は君しかあり得ない!精霊どもは何を考えているのか…!」
「……いつか分かってくれる筈よ。私が本物だって。私が正真正銘の聖女だって…」
自分をこんなにも慰め大切にしてくれるハロルドにこれ以上心配をかけたくなかった。
だが、いずれ皇帝となる彼を支える立派な聖女になると思い描いているドレミカの気持ちとは裏腹に事は次第に悪化してゆく。
(アイツは…あの女はもうこの世にはいないのよ?!どうして私を認めてくれないのよ?!!!)
悲鳴にも近いドレミカの叫びは口から出ることはなく怒りと共に心の中に納められたのだった。