自分でも驚くくらいに手が先に出てしまいました。
気づけば私は悪口を言う彼女に持っていた紅茶をぶちまけていたのです。
「なにをするんですか?!」
私は自分の声で言い返せない歯がゆさで涙をためながら、紙に殴り書きをして彼女たちに見せました。
『私のことはいくらいっても構いません。でもお兄さまのことを悪く言うのは許しません』
「なっ──!」
「いくら公爵家の娘でもやっていいことの限度が……」
「この場を引いて謝罪をするのはあなたたちです」
私の後ろからフローラさまがやってきて、私をかばうようにして彼女たちに向かい合います。
「ここはフェーヴル伯爵家の庭。影口や悪口で他人を蔑むような人間は、このお茶会に参加する資格はございません。お引き取り下さい」
「なっ!!!! なんですって~!!」
「もう一度言います、お引き取り下さい」
「わかったわよ、帰ればいいんでしょっ!!」
そう言って三人のご令嬢たちは出口のほうへと向かわれました。