クリスタさんはいつも私の好みを把握したうえで、今日の気分で私に選ばせてくださいます。
 服のセンスが自分にあるとも思えないのですが、クリスタさんの選定の時点でどれを選んでももう素敵な衣装なのが確定しているので、安心して選んでいます。
 そうです……今日はこのオレンジにしましょうか。

「オレンジの衣装ですね、もしかして髪飾りは蝶のものをご希望ですか?」

 クリスタさんはなんでもお見通しですね。
 そうなんです、今日は自分に自信をつけたいのと、お兄さまのお母さまに守っていただける気がしてこの蝶の髪飾りをつけたかったんです。
 お兄さまの瞳と同じサファイアブルーの輝きを放つこの蝶の髪飾りは、私のお守りになっています。

 どうか、今日もうまくいきますように。
 そうお祈りをしながらパーティーの準備を進めました。



◇◆◇



 パーティーは少し遅めの時間から始まりました。
 緊張しながらもエリー先生のマナー講座で教えていただいた精神『背筋を伸ばして堂々と』をモットーに会場へと向かって行きます。
 今日はいつも見守ってくださるお兄さまもいません。