皆さんたくさん声をかけてくださいます。
 やはり公爵家の令嬢というだけで皆の興味を引くのでしょうか。
 それとも前に言われたように、皆様思惑があって私にお話されているのでしょうか。
 いずれにしてもこんなにお話をしましょうと言われたことがなくて、頭が爆発してしまいそうです。


 しばらく皆さんとお話していたら、お兄さまが近くにいないことに気づきました。
 あれ、どちらに行かれたのでしょうか。
 なんとなく知らない場所に一人というのは不安で、お兄さまの影を探してしまいます。

 すると、バルコニーのほうにお兄さまの姿を見かけて私はそちらに向かって歩いていきました。

「(お兄さまっ!)」

 バルコニーに出る寸前で声が聞こえてきました。

「ラルス様、好きです」

 え……?
 私は気づかなかったのです、柱の陰に隠れて見えなかった女性の姿に。

 その女性はそう言いながら、お兄さまの胸へと飛び込みました。

「ユーリア」

 お兄さまがその女性の名前を呼ぶのを聞いた瞬間に、私は気づけは振り返って走り出してしまっていました。

「ローゼッ!」