「(ふんふん)」


 部屋を出てラウンジのほうへ向かうとそこにはお兄さまがいらっしゃいました。
 お兄さまは私のほうを見ると、大変驚いた様子でかたまってしまいました。

 あれ……何か変だったでしょうか。やはり、私には似合わないでしょうか。

 そんな風に思っていると、お兄さまは私に近づいてきてさっと手を差し伸べてくださいました。

「本当に可愛くて綺麗だよ、ローゼ。私がエスコートするから一緒に来てくれるかい?」
「(はいっ!)」

 私はその手をとっていつもよりさらに高いかかとの靴を鳴らして会場へと向かいました。


 会場には思ったよりも多くの人がいらっしゃって、私はびっくりして緊張で身体が動かなくなりました。
 でもお兄さまが「心配ないよ、今日は私が隣にずっといるから」と言ってくださり、私は大きく息を吸ってはきます。
 呼吸が整った頃、お兄さまと一緒に皆さんのほうへと歩いていきました。

 そんな私たちに気づいたようで皆さんの視線が一気に集まります。
 どうしましょう、皆さんに見られています。