「いいや、うちの娘になったからには厳しくいかせてもらう。お前のときもアデリナが厳しくしていたではないか」
「母上は私を後継ぎとして育てていましたし。ですが、ローゼマリーの場合とはまた違います」
「大丈夫だ、もうエリーに頼んでおいた。明日には来るだろう」
「エリザベートさんにですか?!」

 そのエリザベートさんという方はどんな方なのでしょうか?
 でも確かにこのお屋敷の人間になったからには、みなさまに迷惑をかけないようにしっかりマナーを身につけなければなりませんね。
 私は席を立って、私のためを思ってくださるラルスさまの手を握ってお礼のお辞儀をすると、公爵さまのほうを向いて深く深くお辞儀をしました。

「(私、やります!)」

 そんな言葉が伝わるように、私は大きく一つ頷いて目をしっかりと見ました。
 思いが伝わったようで公爵さまは私の頭をなでに近寄ってくると、にこりと笑ってくださいました。

「ローゼマリー、立派なレディになれるようにがんばるんだぞ」
「(はいっ!!)」

 私も公爵さまに笑みを返しました──



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