私の手は黒くなっていて、でもいつも修道院で掃除するよりも綺麗な手でした。
 たぶんこのお部屋はどなたかが毎日ピカピカにお掃除なさっているのだと思います。
 私は掃除がしたいということを伝えたくて、メイドさんをじっとみながら何度も雑巾で拭く動きを見せました。

「もしかして、お掃除するものが欲しいのですか?」
「(はいっ!!)」

 やっと伝わったことで嬉しくてうんうんと激しく頷いてしまいます。

「もしかしてどこか汚れていましたでしょうか?! 私の掃除が行き届かず申し訳ございません。すぐに掃除をいたします!」

 そういってお部屋を出て行かれようとするので、私は慌ててメイドさんの腕を掴んで引き留めます。
 あっ! やってしまいましたっ! 汚い手でメイドさんの腕を掴んでしまいました……!

 私は慌てて手を離して、何度もごめんなさいとします。
 きっと怒られてしまいます……。
 痛いお仕置きが来ることを覚悟した私ですが、その痛みはいつまでたってもきませんでした。

「なにか違うことをお伝えになりたいのでしょうか?」
「(ふんふん)」

 もう一度目をみて伝えようとします。