幼い頃、一目見たときから恋に落ちてた。
 漆黒の髪にサファイアブルーの瞳、優しくて大好きだった。

 そう、私──ユーリア・フォルツの初恋の始まりはキラキラしていた。


「ユーリア嬢、具合が悪そうだが大丈夫だろうか?」

 私の具合の悪さにいち早く気づいてくださった。
 どんどん好きになっていって、何度も想いを伝えたけどダメだった。

 ラルス様は引く手あまたな婚約者選びも真剣になさらない。
 仕事に夢中でそちらに目が向かないそう。
 まあ、それならまだチャンスはあるからいいかなって思った。
 それなのに、彼女は突然現れた──


 修道院育ちでヴィルフェルト家に養子として引き取られた声が出せない令嬢。
 すぐにわかった、ラルス様はあの子のことが好きなんだって。

「ラルス様」

 私は声を声をかけてみた。

「ユーリア、久しぶりだね」
「ええ、先日のパーティーはお招きいただき、ありがとう」
「楽しんでくれたかい?」
「あなたの自慢の妹が見られてよかったわ。そうだ、ここじゃなんだから、バルコニーで少し話せないかしら?」
「ああ、構わないよ」