名前を呼んでもらえるようになった翌日のことです。
 私が使っていた部屋はそのまま私の部屋としていいとのことで、ありがたく使わせてもらうことになりました。
 クリスタさんはいつも優しく声をかけながら身支度を手伝ってくださいます。

 最初は自分で自分のことはしなければと思ったのですが、環境が違いすぎて何に使うものか、どうしていいものかわからない時が多いんです。
 普通ならば声を出して聞きたいところですが、自分から言葉を発せないのでやはり思ったようには伝わりません。
 それでもクリスタさんは嫌な顔一つせず、私に声をかけてくれます。

「ローゼマリー様、痛かったらいってくださいね?」
「(ふんふん)」

 私の髪を結ってくれながらそう言ってくれます。

「ローゼマリー様の髪は真っすぐで綺麗ですね」

 私は少し照れてうつむいたあと、少し首をふります。
 特に珍しくもない薄い茶色い髪の私からすれば、クリスタさんのほうが綺麗で羨ましいなと思ってしまいます。
 それをなんとか伝えたくて、クリスタさんの髪をそっと指さしてみました。

「え? 私の髪がどうかしましたか?」