全教科満点で首席入学を果たし、親からはすこしでも褒められると期待したが、間違いだった。『首席以外なんてありえないでしょ。馬鹿言わないでちょうだい』と、一蹴され私の中で何かが壊れた。自分の思いなど人に伝えてはいけない、そう決心するきっかけとなった。

 授業では挙手をたくさんして、先生の手伝い、成績は常に一位をキープ。そんな私を信用して、いろいろなクラスの厄介事を押し付けられたりしたが、笑顔で対応。ただ、友達は誰一人としてできなかった。いつもなんでもやる私を見て、勝手に「近づきがたい」だの、「私なんかが話しかけていいわけない」など言って、だれも私に近づきては来なかった。その結果、私は放課後にカラオケなどなく、学校と家の往復を一年ほど繰り返した。
 時は、早いようで短く、高校2年生になった。クラス替えがあり、新しい教室とメンバーを見ると、やっぱり自分と関わろうとする人はいない。かと言って自分からかかわろうともしなかった。自分から関わっても、迷惑がられる。それだったら自分で自分の身を守るのに徹すると決めた。
 
 そんなある日、家の庭で一人の少年が倒れていた。両親はいなくて、どうしたらいいかわからなかったが、意識はあったのでとりあえず部屋に運んだ。